就業不能保険だけは必要!専業主婦(主夫)が動けなくなったらどうする?

専業主婦(主夫)は一般的に生命保険を必要としない。専業主婦(主夫)の人が亡くなっても経済的にはそれほど遺族は困らない。死亡保険は申し訳程度の加入でもよいし、医療保険は専業主婦(主夫)だろうがなんだろうが不要だ。

ただし、就業不能保険だけは検討の余地がある。家事等ができないような体調になったとしても生活費は依然としてかかるからだ。このあたりは死亡保険とは事情が違う。誰かが亡くなればその人の分の生活費はかからないからだ。残酷な話だが、生きている方がお金はかかってしまうのだ。

いやまて!そもそも働いてなくても就業不能保険の給付金は出るの?

専業主婦(主夫)であれば、ほとんど、あるいは全く収入がないだろう。就業不能保険というと、何やら就業している人、つまり働いて収入を得ている人でないと保険金がもらえないと思われるかもしれない。専業主婦(主夫)だと就業不能保険に入っても無意味であるように思えるかもしれない。

主婦(主夫)が就業不能保険が必要かどうか考える前に、給付金が出る可能性がなければそんなことを考える意味もないだろう。

だが安心してほしい。

就業不能保険の支払条件はたいていの場合以下のようなものになる。

特定の就業不能状態が一定期間継続(60日・180日など)すること

※就業不能状態とは以下のいずれかの状態を指す

  • 病気またはケガの治療を目的として、日本国内の病院または診療所において入院している状態
  • 病気またはケガにより、医師の指示を受けて自宅等で在宅療養をしている状態

これはライフネット生命の就業不能保険の約款を参考にしたものだが、見ればわかる通り『働いて収入を得ているかどうか』など書いていない。

だいたい、働いて収入を得ているかどうかなど保険会社から確かめるのは手間がかかるし、契約期間中に働かなくなることがあるではないか。

事実上、就業不能保険の給付金をもらうには病気やケガで入院したり医師に『働けるような状態じゃないね』と診断を受けること(かつそれが一定期間継続すること)が必要で、収入の有無は関係ない。

就業不能保険が必要な理由!専業主婦(主夫)がやる家事は誰が代われる?

家事仕事は一般的に収入を得る仕事より軽んじられる場合がある。しかし、家事は生活するために必須の業務だ。生命保険セールスをしても、会社の社長をしても、アメリカ大統領をしても収入を得ることはできるが、家事は誰かが行わないと生活していけない。どのような状況になろうとも家事にさく時間は必ず必要になるのだ。家事仕事を軽んじる人はこのあたりの認識が甘いように思える。

専業主婦(主夫)であっても、彼らが亡くなったり、病気で動けなくなれば他の誰かが家事を担わなければならない。

そしてその場合、収入が減ったり支出が増えたりするものだ。

例えばAさん、Bさん夫婦がいたとして、子供も2人いたとする。Aさんが専業主婦として家事を切り盛りし、Bさんは月収40万円得ているとしよう。

ここでAさんが病気になり動けなくなったとする。

そのときBさんが取りうる選択肢はどのようになるだろうか。

仕事を辞めて在宅ワークなどで収入を得て家事・育児にさける時間を捻出

仕事の量を減らして家事・育児にさける時間を捻出

家事・育児を可能な限り外注(家政婦サービスなど)し仕事を続ける

おおむね以上のような選択肢からどれかを選ぶか、あるいは組み合わせるのだろう。

仕事を辞めたり減らしたりすれば収入ダウンは避けられない。辞めて在宅ワークなどを探すなどしても、月収40万円が20万円になるかもしれない。仕事を減らせば残業代や時短勤務などの影響により月収が30万円になるかもしれない。なんとかそれで家事まで担えたとしても、以前Aさんが行っていたほど完璧に家事ができるわけではないだろう。自炊が減り、外食や惣菜の買いが増えるかもしれない。となれば支出が増えるだろう。

家事代行サービスを利用したとしても大幅な支出増は避けられない。一回のサービス利用で8000円は普通にかかるようなレベルなのだ。

家事を主に担う人が動けなくなったら、『代わりに俺がやればいいんだろ?』はあまりに考えが甘いのがわかるだろう。

専業主婦が加入すべき就業不能保険はそれほど大きな金額でなくともよい

主婦(主夫)が動けなくなった際に、家庭全体で収入が減ったり支出が増えたりするのは分かったと思う。このような事態に備えて就業不能保険に加入することが必要だ。

しかし、保険に加入すれば保険料を払わなければならない。

そして保険は何も起こらなければなんの給付金ももらえない。

誰かが亡くなったり動けなくなったときのリスクは心配だが、あまり保険料が無駄になる事態も避けたい。ジレンマだ!

保険は必要であっても最小限で加入することが重要だ。

家庭で主に収入を得ている人にかける就業不能保険であれば、毎月の給料の金額を参考に比較的大きな金額の就業不能保険に入るのかもしれない。しかし専業主婦(主夫)にかける就業不能保険であればその半分くらいでいいかもしれない。もちろん、多ければ万が一の際に多くの給付金がもらえ生活が楽になるが保険料がかさむ。保険料負担能力と照らし合わせちょうどよいところを探そう。

専業主婦(主夫)が加入すべきは医療保険ではなく就業不能保険!

専業主婦(主夫)ですでに医療保険に加入している人は多いだろう。もしかしたら今医療保険に加入しようか検討しているのかもしれない。

もしそうなら、医療保険などに加入するより就業不能保険に加入するべきだと声を大にして言おうではないか。

あなたは医療保険になんの目的で加入したのだろうか。『なんとなく』とか『必要だと勧められて』などだったら今すぐ解約した方がよい。

保険は不明確な理由で入るのが一番無駄だ(保険でなくとも無駄だ)。

『入院・手術したときの費用が心配』とか言う理由もあるかもしれない。あなたは健康保険に入っているだろう。健康保険に入っていれば入院・手術したときの費用などそれほど大きなものにはならない。たいていは貯蓄で対応できるはずだ。貯蓄で対応できないほど蓄えがないのならそもそも医療保険など入っている場合ではない。起こるか起こらないかわからない『入院』などというリスクに備えるより、確実に訪れる『老後』への備えの方が圧倒的に重要である。

医療保険でわざわざ備えることのできるリスクは大したものではないのだ。一方で『働けない・動けない』長期間続くことで必要な経済的リスクは段違いで大きい。現役で働いているような世代で30年分の生活費が貯蓄できている人などほとんどいないだろう。『働けない・収入がないのが続く』リスクは一度起これば、家計をただちに破壊する。子供がいる人の死亡保険並みに就業不能保険は必要だ。

このあたりは医療保険と就業不能保険の違いを解説した記事にも詳しい。

保険は本来、とんでもなく大きなリスクに備えるためのものだ。医療保険で備える『入院・手術』など少し費用がかかる程度のリスクをわざわざ保険で備えたりすれば、保険貧乏は明白だ。アメリカのように医療費の自己負担がすぐに○百万円、○千万円になってしまうような国に住んでいれば医療保険は必須だが、日本はアメリカではないのだ。

少なくとも、今医療保険に加入している人は就業不能保険への乗り換えを検討したほうがよいと私は思う。

医療保険に入っていない人でも、もし保険を検討するなら、医療保険ではなく就業不能保険を優先的に考えよう。

『就業不能保険(働けなくなった時の保険)に関するあなたの疑問はすべてここで解決できる!』の記事で就業不能保険に関する知識をさらにつければあなた自身で就業不能保険が必要かどうかわかるだろう。