生命保険の転換は何かとトラブルが起きやすい。
原因には保障内容の分かりにくさ、消費者が生命保険について学ぶ機会がないこと、そもそも生命保険セールスが消費者を騙そうとしていることなど多くの原因がある。
ここでは実際に本当にあった生命保険の転換にまつわるトラブルの事例をお伝えしよう。
ちなみに生命保険の転換を行い、騙そうとするセールスは一定数存在する。
他のセールスが顧客を騙したため、苦情が別の営業所やセールスにいく場合など、生命保険の営業では割と日常的に起こることである。
事例1 転換後の内容が自分(消費者)の思っていたものと違う!
ある30代の独身男性は以前から、独身の自分に3000万円もの死亡保険は必要なのかどうか疑問に思っていた。
さらに2年後に迎える更新で保険料が上がることから、医療保険を中心とした、保険料が上がらない保障に見直したいと思っていた。そこで、今加入している保険会社のセールス担当者を呼び相談したところ、『転換により、保険を下取りして医療保障を厚くしましょう』というニーズと合致しそうな提案を受けた。
さて、男性は面倒な契約手続きも終え、新しい保険証券も届き、保険のことはすっかり忘れていた。
1年後、保険会社から別の担当者が男性を訪問し、契約内容の確認をしたいとのことだ。
『なんでいちいちそんな確認などしなければならないのか・・・』
男性は面倒に思いながら、しぶしぶ訪問を受ける約束をした。
内容を説明してもらうと、その担当者はとんでもないことを言い出した。
『お客様のただいまの契約内容は死亡保険3000万円と医療保険の特約です。10年後には更新を迎えて保険料が上がるのでご注意ください』
何を言っているんだ?こいつは?自分は確か医療保険の更新がないやつにしたはず・・・
いったい、この男性の生命保険はどうなってしまったのだろうか?
これは嘘のような本当の話だ。
私が営業時代、このような話(もちろん苦情)は月に1件はあたった。
なぜ、顧客が希望したものと異なる契約になっているのだろうか。
実は、生命保険のセールスには顧客を騙すことを平気で行う人間が一定数存在している。
顧客に説明したものと、異なる内容の申込書で申し込ませると、このようなことが可能になってしまう。
特に転換の場合は、転換価格といわれる、転換前の契約を下取りすることで、転換後の保険料をセールス側である程度操作できてしまう。顧客にとって分かりにくい、かつセールスに都合の良い設計が新規契約より転換契約のが圧倒的にやりやすいのだ。
『申込書の内容を確認しない顧客が悪いのでは?』と思われるかもしれないが、あなたはカラー刷りで図面など豊富に使った保険設計書を見せられ、それに基づいて説明されたあと、以下のような字面だけの保険申込書の内容をきちんと見るだろうか。
5年ごと利差配当付き普通定期保険
無配当満期返戻金付収入保障保険
無配当無解約返戻金型健康祝い金付医療保険Ⅲ
無配当成人病入院特約
無配当高度先進医療保障特約
利率変動型(最低利率保障あり)積立終身保険
おそらく見ないだろう。
あなたはすでに分かりやすい説明書で説明を受けたのだ。
申込書など署名押印、必要事項の記入をセールスの誘導にそって、言われるままに行うだけだ。
実際、数多くの申込を受けた私でも、保険設計書の内容で質問されることはあっても、申込書上の保険の内容について質問されたことはない。せいぜい、『どこにハンコを押せばいいのか』『職業はどのように書けばいいのか』とかそのような手続き上の質問だけだ。
悪意のあるセールスはここにつけ込んでくる。
さらに悪いことに、保険は一度申しこんでしまえば、その後、保障内容を点検するひとなどほとんどいない。
生命保険会社に勤める人間でも自分の保険については曖昧にしか記憶していない。
事例2
ある60代の女性は終身保険500万円と医療保険に入っているが、毎月2万円の保険料支払いを負担に感じている。
何かいい方法はないかと困り、生命保険セールスの担当者に相談することにした。
『終身保険を下取りにして転換してしまえば、以後の保険料は払わずに終身の医療保険を残すことができますよ。』
死亡保険も必要ないし、保険料なしで終身の医療保険が手に入るならそれでいいと思った女性は転換を行った。
例によって、一年後、別の担当者が契約の確認に来た。
そして、またしてもその担当者はとんでもないことを言い始めた。
『転換価格(下取り価格)によって70歳まで保険料の支払いは0円ですが、70歳以降は月15000円終身でお支払いすることになってます』
70歳以降?15000円?いったいこの人は何を言っているの?
転換価格を悪用するとこのようなことも可能だ。
転換価格の下取りの仕方は設計次第でいろいろなことができる。
下取りによって、転換後の契約の保険料をどれだけ軽減するか、またどのくらいの期間軽減するかが操作できる。
ちなみに、終身の医療保険を転換後保険料負担なしで加入するためには、かなりの下取り価格が必要だ。
今回の事例では、悪いセールスがこれを偽り、70歳まで保険料の支払いがないようにしてごまかし、契約させたのである。
これらの事例のように、生命保険の転換は、すでにある契約を下取りにだす性質上、設計の自由度が高くなる。
これはたいていの場合、セールスの都合を優先させる方に非常に有利に働く。
契約転換では保険会社全体の営業戦略として、以下のようにもっとえげつないことをやらせている場合もある。
あるいはそれが行き過ぎて、以下のように訴訟案件になっている事例もある。
いずれにせよ、生命保険会社やそのセールスの言うことは往々にしてあてにならない。
彼らはあなたの味方ではない。
味方を装って、食い物にしようとしているということを肝に命じる必要がある。
生命保険のセールスに生命保険のことを相談などしてはいけない。それを避けるためには自分で加入の仕方をきちんと知ることが重要だ。
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