トラブルが頻発する生命保険契約の転換制度。
以下のように、生命保険の転換制度においては、トラブルや気を付けなければいけない事例があふれている。
もしあなたに転換トラブルが起きたのなら、あなたは転換の取り消しを求め、契約を元に戻すことを求めるかもしれない。しかし、実際のところ転換を取り消し、契約を元に戻すのはかなり難しいと言わざるをえない。
転換を取り消し契約を元に戻すため最低限必要なこと
転換を行うときに当然内容の説明を受けるのだが、内容の説明とは口頭によるものと書面によるものがある。口頭で受けた説明は録音でもしていない限り証拠が残らない。
一方、書面によるものは、確かに加入者が「その内容で保険会社に加入を申し込んだ」という証拠で、当然保険会社に保管されている。
口頭で加入者に都合のいいことばかり言っていても、それはほとんど法的拘束力を有しない。言った言わないなど、セールスと加入者、どちらが嘘をついているのか客観的には判断できないからだ。
しかし、申込書などの書面は申し込んだ内容がきちんと記載されていて、加入者の署名等がある。セールスが、『この保険は満期で500万円もらえます』などと口頭で言って、実際には掛け捨ての保険だったとしても、加入者は掛け捨ての保険に納得して申し込んだことになってしまう。
このような状況はもはや詐欺でしかないのだが、それでも保険会社側が有利なことがほとんどなので、この手の詐欺的手法は後を絶たない。
このようなケースで、転換を取り消して契約を元に戻すには、少なくともセールスが嘘をついたことを証明しなければならない。セールスに嘘をついたことを証言させるか、契約説明時の録音が必要だ。セールスが嘘の説明した場合は、加入者を誤認させて契約させたことになるので、当然のことながら転換は取り消しされ、契約は元に戻されるだろう。
説明が正しく、加入者がただ転換を取り消したい場合
転換時の説明が正しく行われ、加入者も正しく納得した状態で転換をしたとしよう。
そこで、加入者が改めて考えると転換前の契約のほうがよさそうだと思って、転換の取り消しをして契約を元に戻すことを請求する場合を考える。この場合は転換時の説明が正しく行われた以上、転換の取り消しはクーリングオフの対象にならない限りは一切できない。保険会社側に故意・過失がないのであれば、保険会社側はそうした申し出を受け付けることはないだろう。
生命保険の転換を行う場合は基本的に取り消して元に戻すことはできないと考えよう
これまで見てきたように、生命保険は一度転換を行うと元に戻すことはほぼ不可能に近い。
保険会社側の説明に嘘があったり、加入者がそれによって誤解していたとしても、確実な証拠がなければ、転換を取り消すことはかなり難しい。
まして、保険会社側になにも落ち度がない場合は転換の取り消しはできないと考えてよい。
生命保険の転換をする際は、元に戻せないことを想定して安易に転換しないように注意しよう。