生命保険の転換におけるたった2つのメリット

生命保険の転換は、とてもトラブルが多い。
その理由は、セールス側の説明に問題があることが多いが、そもそも転換制度自体にメリットがほとんどないからだ。
この記事では、転換制度の数少ないメリット、それもたった2つのメリットを解説する。
しかもこのメリットは一般にはあまりなじみがない上、1つはかなり無理やりひねり出したものだ。
私のような生命保険に詳しい人間でも、メリットを指摘するのに苦労するくらい、『転換制度にはメリットが少ない』と理解するだけでも十分かもしれない。

生命保険の転換のメリット① 既得権の利用

『いや・・・お前、いきなり専門用語使うなよ・・・』と言われそうである。
生命保険の既得権とはなんなのか。
詳しくは下記の記事を参照してほしい。

うつ病でも生命保険の転換を利用すれば見直しができる?

簡単に言えば、転換前の契約の同種、同額の範囲内であれば、転換時の健康診査が格段にゆるくなるということだ。

これは、うつ病の場合に生命保険の転換を利用することで保険の見直しができることを解説した記事でも触れている。

うつ病や、高血圧、糖尿病、場合によってはガンまで、その他諸々の病気であっても、保険の見直しの方法として有効だ。
しかし、あくまで健康に問題がある人の見直しに有効なのであって、健康な人はそもそも、既得権を必要としないので、わざわざ転換に頼る必要はない。

典型的な既得権の利用方法が以下のような事例だ。

あなたは入院日額10000円の医療保険に加入している。
しかし、あなたは糖尿病を患っている。
悪いことに、あなたが加入する医療保険はあと2年で保険が切れてしまう。
これから糖尿病と付き合い続けていくのに、医療保険が無くなるのは痛手だ。

そこで、あなたは医療保険を終身の保障がある医療保険にしたい。
でも糖尿病を患っているのに、そのような見直しが可能か不安だ。

そこで生命保険の転換を利用すれば、医療保険10000円の範囲内であれば、終身の医療保険に見直しする際、健康状態の診査が緩くなる。

新規で加入すれば、糖尿病の程度によっては加入はできないが、転換で既得権(入院日額10000円)の範囲内であれば、見直しできる可能性は格段に高くなる。
新規加入だと加入不可だったが、転換ならば割増保険料の条件、あるいは無条件での加入も可能かもしれない。

上記の事例のように、一般に重い病気と思われる病気を患っていても、既得権を利用し転換すれば、保障期間を終身に変更する際など威力を発揮する。

生命保険の転換のメリット② 解約するより転換したほうが下取り価格の毀損が少ない

『いや・・・お前何言ってるかわからないし・・・』と言われそうである。

生命保険の転換は解約して新規に入り直すのとそれほど大きな差がない。
解約する場合は解約返戻金が受け取れるのだが、それを原資に新しい契約の保険料を軽減してもよい。
こうすれば実質的に転換するのとほとんど差はない。

しかし、転換した際の下取り価格(転換価格)と解約返戻金を比べると若干ながら解約返戻金の方が金額が少ない。
生命保険を見直す際に、契約する保険会社を変えるのでなければ、解約して新規で入りなおすよりは、転換を利用したほうがよいだろう。

以上の2つが転換を利用した際の固有のメリットだ。
いずれも利用できる状況は限られる。
逆に言えば、たいていの人にとっては転換におけるメリットなどほとんどない。
生命保険の転換は『トラブルが起きやすい』という明確なデメリットを押しのける状況にある人はあまりいないだろう。

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