生命保険の転換は様々な理由で勧められる。必死に勧められる。セールス達にとって転換はドル箱だからだ。
さて、今回も転換契約の罠をひとつお伝えしよう。
それは契約者貸付に関わる話だ。
契約者貸付をしている顧客に対して、『転換して貸付を清算できます。新しい保障にも変えられてお得です。』などと勧められる。
だが、契約者貸付をしている契約を安易に転換してはならない。
「貸付」というとなにやら生命保険会社に借金をしているような響きなので、契約者貸付をしている人は後ろめたさでも感じているのか、多くが「契約者貸付」を清算できると聞くと、転換してしまう人が多い。
しかし、契約者貸付は別に清算しなくてもよい。あなたの借金ではないからだ。
また、高予定利率契約だったりすると、貸付利率も高いが、なるべく契約を清算しないで、返済したほうがよい。
そもそも契約者貸付って借金なの?
名前こそ「契約者貸付」だが、これは貸付を受けた人の借金ではない。
契約者貸付は終身保険や年金保険などの、おおよそ解約返戻金額より少し少ない金額を限度に、生命保険会社から資金を借りられる制度だ。
解約返戻金は加入者のものなので、解約返戻金を担保に資金を借りているといっても良い。
つまり実質的には加入者が自分の解約返戻金から一時的に資金を融通しているに過ぎない。
つまり保険会社からの借金でもなんでもないのだ。
返さなければ、解約返戻金や受け取る保険金から借りた分が差し引かれ清算されるだけだ。
よって、借金だと思って後ろめたさなど感じる必要はないし、堂々としていればよい。
契約者貸付を転換で清算すると有利?
契約者貸付の貸付利率は、その契約の予定利率よりやや上乗せされた率である。「予定利率が5%であれば、5.5%が貸付利率になる」といった具合だ。実際にいくら利息が上乗せされるのかは、契約や保険会社によって異なる。
さて、このような高予定利率の契約を狙って、転換を勧めてくるセールスは非常に多い。
転換すれば、転換の下取り価格で、貸付は清算されるので一見魅力的に思える。
しかし、よく考えてほしい。昨今の経済情勢では5%の運用利率を確保することなど困難だ。5%の予定利率を保障してくれる契約は可能な限り残すべきである。
では清算しないのだとしたら、残っている契約者貸付はどうするのか。
転換や解約ではなく、どこかから資金を調達して貸付の残高を減らすほうがよい。仮に2%の利息で借りた資金で、貸付をなくせたら、5%の予定利率の契約は残り、清算して予定利率が0%に近い契約より格段に有利だ。親戚、知り合いに借金をしてでも、高予定利率の契約は残すべきである。もし、予定利率以下で貸してくれる先があれば、そこで資金を借りて、契約者貸付を減らすとよい。住宅ローンの借り換えを行うのに似ている。
セールス達は高予定利率契約を転換してガッポリ設けることしか頭にないので、積極的に転換を進めてくる。顧客利益を本当に考えるならば、まずは他の資金で契約者貸付を減らせないかどうかを勧めるべきなのだが・・・。
とにかく生命保険の転換はセールス達がハイエナのようにあなたの契約を狙っている。
生命保険会社も逆ザヤの解消のためあの手、この手を打ってくる。
他にも転換にまつわる注意しなければならない話はたくさんあるので、以下の記事を参照してほしい。生命保険セールス達の手口がわかるにつれ、あなたが損をする確率はどんどん減るだろう。