生命保険の転換を安易にした結果、とんでもないデメリットを掴んだ!なんてことは生命保険業界ではよくある。
これが、俺俺詐欺などであれば、『俺俺詐欺に騙されるとかww私がそんなのに引っかかるわけない!』と言い、実際に引っかからないのかもしれない。俺俺詐欺は落ち着いて聞けば、実に穴だらけな手法だからだ。
しかし、生命保険の転換の場合は、かなり注意深い人でも、騙されてしまう人が多い。
なぜなら、生命保険の転換制度自体は合法で、生命保険会社やセールスたちはかなりの自衛策を練っているからだ。
さらには、そもそもある程度騙す気でセールスが転換を勧めて来るものだからタチが悪い。
なぜ、転換を利用するとだまされやすいのか。
そもそも転換でなくとも、セールス側からすれば、生命保険契約というのはその気になれば騙すのは実に簡単だ。
なぜ生命保険の転換で騙されてしまうのか?
生命保険の転換で騙されてしまう理由は3つある。
1 生命保険があまりにも分かりにくすぎる
生命保険約款(契約の決まりごとをまとめた冊子)を見れば、いや、生命保険設計書を見ればその分かりにくさは一目でわかるだろう。消費者が見てすぐに理解できるものではない。
そもそも、セールス側ですら保険の内容、保険の仕組みをほとんど理解していないのだ。
生命保険セールスの知識レベルの実態は以下の記事を参照するとよい。
セールス達がおよそ専門家とは呼べないレベルであなたたちの元を訪問していることが分かり、恐ろしくなるだろう。
売る側が理解できていないような生命保険を、あなたは『何が正しくて、何が正しくないのか』を見極めることはできるだろうか。
それは、小学生に大学数学について質問するようなものだ。
セールス達が嘘をつけば、あるいは重要なことを言わなければ、あなたはそれがわからないまま契約してしまうことになる。
2 生命保険の契約が長すぎて、しかも役に立たない場合がある
生命保険は一般の人が結ぶ契約の中で、最も長くなるものだ。その期間は10年、30年、場合によっては死ぬまで。
これを超える契約は、遺言信託くらいのものだろう。
さて、ご存知の通り、生命保険は病気になったり、亡くならなかったりしないと、保険金はもらえない。
年金保険ならばお金が将来戻ってくるのは確かだが、それも遥か未来のことだ。
契約したまま、何も効力を発揮せず、そのまま契約が終了してしまうこともザラだ。
そのため、保険に加入した人は加入してすぐ保険のことなど気にもとどめなくなってしまう。
セールス達が嘘をついて契約してしまっても、それが嘘だとわかるのは、病気になって保険金を請求するとき、満期の保険金をもらうときなどだ。
亡くなった後は、契約当事者が亡くなった人だけの場合は、何を契約していたかなど、他の人には知りようもない。
掛け捨ての保険で、何事もなく満期を迎えてしまえば、顧客が望んでいない契約内容だったとしても、セールス側が黙っていれば、顧客は内容が間違った契約だったということなどわからないのだ。
3 転換の下取り価格(転換価格という)でセールスの思うがまま
1と2は生命保険全般の問題だが、3については転換制度固有の問題だ。
転換制度を利用すると、古い契約が下取りされ、新しい保険の保険料を軽減するために使われる。
本来、この下取り分は加入者の物だが、転換を利用すると、一旦顧客の口座に入ることもなく新しい契約の保険料軽減に使われる。
内容をあまり吟味しない顧客の場合、下取り価格がどの程度のものかも気にしない場合がある。
セールス側はこの下取り価格を自由に操作できる。
どの程度の期間保険料を軽減するのか、1ヶ月あたりどの程度の保険料を軽減するのか。
保険料の軽減する期間を短くすれば、1ヶ月あたりの軽減額は大きくなる。
逆に、期間を長くすれば、1ヶ月あたりの軽減額は小さくなる。
これを利用し、セールス達は騙しに来る。
転換を利用し保険料を軽減する期間を短くする。
すると見かけ上、転換前より転換後の契約が、1ヶ月の保険料負担がものすごく落ちたように見えてしまう。
保険設計書はたいていの場合、『1ヶ月あたりの保険料がいくらか』については大きく表示されてしまう。
転換を利用したことで、ものすごく魅力的な保険に見えてしまうのだ。
もちろん、短い保険料軽減期間が終わったあとに莫大な保険料支払いが控えているのは言うまでもない。
しかし、セールスが故意に説明を怠れば、加入者がその事実に気づかないままになってしまう。
『そんな単純な・・・』と思われるかもしれないが、実際何も知らずに保険に接する人にはわからないのだ。
ここまで、生命保険、特に転換制度を利用すると、とても騙されやすい商品なんだと理解できると思う。
まずはとても恐ろしい商品だと理解してほしい。
そして次の記事では、このように騙されないためにはどのようにすればよいのかと、実際に騙されてしまった場合にはどうすればよいのかを説明する。
特にこれから医療保険の加入を検討する人、転換を勧められどうすればよいか迷っている人は必見だ。
騙されてしまっ場合も、望みはそれほど多くはないが、できることはあるので諦めずに方法を勉強しよう。
生命保険の加入や転換で騙されないためにするべき、たった3つのこと
生命保険の加入や転換で騙されてしまった場合はどうやってクレームを入れればいいのか