帝王切開や流産など出産トラブルで生命保険はいくら保険金が出るのか

出産時のトラブルは生命保険会社からの給付金支払いが非常に多い事例だ。実際、帝王切開に限っても妊婦の15%から20%程度に対して行われるというから、出産適齢期くらいの女性では通常の病気で入院する確率よりよっぽど高い。

そんな中、うっかり生命保険に入っていたことを忘れてしまっていて、せっかくもらえる給付金をみすみす請求漏れにしてしまう人が少なからずいる。非常にもったいない話だし、ただでさえ役に立つことの少ない生命保険なのだから出産時のトラブルは生命保険に入っていれば給付金がでる場合が多いと覚えておこう。

生命保険ではなく医療保険から給付金はおりる

まず出産時のトラブルがあったとき給付金がおりるためには、正確には医療保険に入っている必要がある。一般には『生命保険』とひとくくりにされる場合が多いが、その『生命保険』契約の中に医療保険が特約でなり、単独の契約だったりして存在していることが重要だ。典型的な契約は『入院1日あたり5000円』などという条件が見えることだろう。

この医療保険があれば、ほとんどの保険は所定の手術をした場合に手術給付金という形で給付金がおりることになっている。まず今入っている契約を確認しよう。分からなければ生命保険会社のコールセンターに電話突撃あるのみ。

どんな出産トラブルで給付金がおりるのか

一般に出産時のトラブルに関わる給付金支払いは帝王切開が圧倒的に多いが、他にもたくさんある。

通常分娩では給付金はおりないが、先に挙げた帝王切開はもちろん、早産、流産などの手術も対象となる。一見通常分娩のように思える処置でも小さな処置が対象になったりする。細かいところでは、出産時に子宮口が十分に開いておらず、鉗子のような器具で子宮口を開きながら出産を促す処置などが、給付金対象となったりする。

このあたりは退院時の医療機関からの請求明細に処置の一覧があるはずなので確認するとよい。もちろん自分では判断がつきにくいから保険会社の担当者やコールセンターに確認するべきだ。

また通常分娩だけでは入院給付金の対象とならないが、帝王切開や先ほどの小さな処置でも(通常分娩以外の出産を異常分娩と定義している)、処置をしたことによる回復期間として入院が判断されるため、入院給付金の対象となることがありえる。

総じて、通常分娩以外の処置がなかったかどうか、医療機関に確認し、それがあれば入院給付金と手術給付金の対象となることがあると覚えておこう。

帝王切開や流産・早産手術などでの給付金の金額はいくらになるか

気になるのは給付金の金額だが、これは各々の医療保険の契約内容によるため一概に何とも言えない。例えば、帝王切開時には入院給付金日額の10倍の給付金がおりたりする(このあたりは各医療保険の契約条件により異なる)。また、手術給付金がおりるようなら入院給付金も同時におりることになるので、入院日額5000円の医療保険であれば全部で7~8万円程度の給付金になることもザラにある。

いずれにしても帝王切開等、出産時に何か特別な処置をしたら必ず生命保険会社に問い合わせることが肝心だ。

給付金が下りやすいからと言って出産のためにあえて生命保険や医療保険に入る必要はない

結婚時にこのような異常分娩時の給付金をあてにして生命保険や医療保険に申し込んでくる女性がよくいる。本人が積極的に申し込むというよりは周囲の誰かに説得されたことが多いが、いずれにせよ申込みが多いタイミングではある。だが、出産時のリスクのために医療保険など入るのは全くお勧めしない。

理由は2つある

  • 加入したからといってすぐ妊娠するとは限らず、当然その間も保険料を払い続けなければならない
  • 医療保険は9割方負けるのに高額当選のないくじのようなものだ

妊娠後に医療保険に入っても出産関連の給付金は出さないという特別条件がつくので、当然妊娠前に医療保険に入らなければ、異常分娩時の給付は受けられないが、妊娠はいつするかわからない以上、保険料が無駄になるリスクがある。ましてや医療保険は払った保険料に対して給付を受けられる割合が異常に低い。

1000件程度の医療保険の契約を集めて、支払われた保険料のうちどれだけ給付金支払いがなされたか、保険会社勤務時代計算したことがある。

30%強だった。

これは言い換えれば100万円分宝くじを買った場合、平均で30万円の当選金がえられると期待できる程度の話である。あなたはこのような宝くじなど買うだろうか。ましてや医療保険に1億円ももらえるような『大当たり』はない。

出産関連で給付金をもらったら医療保険は解約を検討すべき

すでに医療保険に入っていて出産関連の給付金をもらえる可能性のある人はすぐに請求しよう。そしてすぐさま解約を検討するべきだ。こんな分の悪い、保険と呼ぶのもおこがましい存在意義が疑われる商品に加入している意味などない。もちろん、あなたが持病もちでこれから頻繁に入院手術をすることが想定され、給付金を何度ももらう機会がありそうな場合は契約を続けるべきだが、出産を終えて健康であるならば、医療保険など無駄なので解約することをお勧めする。

私は医療保険に加入することに関しては偏執的なまでに否定的だ。それは医療保険が役に立たないし、数学的に見ても損をするようにできている商品だと強く確信しているからだ。医療保険を否定できる理由など軽く9つは思いつく。

そうでなくとも、生命保険も含めて保険契約を見直してみることをお勧めする。医療保険など加入している人はたいていセールスに騙されたか、セールスに無理やり勧められたか、世間の風潮に流されたかのいずれかだ。きちんと勉強すれば医療保険は不要だし、死亡保険はもっと安く入れる。あなたの保険料支払いが5千円や1万円も合理的に削れることも十分あり得る。