いつの世も無知な人が騙され、お金を吸い取られることになる運命にある。
生命保険業界もその例に漏れない。あまりに消費者を無視した手法がはびこっている。
今回は、最近金融業界に流行っているAIによる適切な商品選びで留意する点について話そう。
AIは公明正大でも中立な立場でもない
今をときめくキーワード『AI』。AIにまかせれば全てが効率化され、人間の無駄な行動はますます減っていくことになるだろう。
あなたもそんな印象をAIに持っているかもしれない。
確かにAIは素晴らしい。簡単な条件分岐を組むだけでも平凡な事務員の仕事量を軽く超えるほどのプログラムが組めたりするし、極まってくると皮膚がんの画像診断で人間の医者を上回る成績をAIが出しているとかいないとか。
しかし、『AI』という用語はあまりに意味するところが広すぎる。エクセルマクロで組むプログラムも場合によっては広義では『AI』だし、2択の積み重ねで答えを出すシステムもある意味『AI』である。『AI』とは何かなどここで論じるつもりはない。大事なことはこの『AI』という言葉が事業者の都合がいいように利用され始めている。
AIが運用する投資信託
最近では『AIが投資信託を運用する』という触れ込みで登場した投資信託がある。なにやらすばらしく効率的な運用をしてくれ、人間が運用するより素晴らしいパフォーマンスをあげてくれそうな雰囲気がある。
しかし、その運用は本当に素晴らしいのだろうか。『人間の運用成績を上回る』ことはまだまだ未知数だし、本当に複雑に緻密に設計されたAIが投資信託を運用しているのかなど確かめようがない。
『話の真偽はどうでもいいというのか』という某漫画にでてきそうなセリフが心に浮かぶ。
『AI』という魅力的でホットなキーワードの裏で毎年2%近く信託報酬を取られたりするのだからお笑いだ。
ロボアドバイザーに聞く生命保険
生命保険業界に話を戻そう。最近、『ロボアドバイザー』なるコンテンツを発見した。7つの質問に答えると『あなたにオススメの保険をご提案します』との触れ込みだ。
これで『ロボアドバイザー』だというから笑ってしまう。確かに、機械が判断してくれるわけだが、こんなコンテンツは素人が3カ月もWEB制作を学べば楽々実現できるようなコンテンツだ。そして選んだ結果できちんと医療保険や終身保険をお勧めするのも忘れない。
『ロボアドバイザー』とかいう実態は低品質な『AIもどき』で、話題の『AI』っぽいものによる判断がされるという、消費者にとってはちょっと興味をそそられるコンテンツで誘導し、最終的に様々な保障がてんこ盛りの保障に加入させるのが目的だろう。使うツールが変わっただけで、生命保険屋のやることは手法が変わらないのだから笑ってしまう。
だいたい、7つの質問くらいで人間の人生を分類できるはずがない。本物のAIによるコンテンツとは、何万とか何百万とかのデータをAIに覚え込ませ、しかもAIが自立的に学習し判断する。それでもまだ精度が足りてないというのだから、7つの質問ごときでは機械はロクなことを判断できない。
生命保険を適切に選ぶには自分で勉強したうえで相談するしかない
結局のところ生命保険というこれまでの人生、これからの人生、人間それぞれの価値観が大きくからむ商品に対してAIが適切な判断を下すには無理がありすぎる。人間の価値観だけは画像診断もデータ診断もできない。できたとしても膨大な質問事項があなたの前に突きつけられるだろう。まして数個の質問ではなおさら無理だ。
最終的には生命保険に加入する際は誰かしら生命保険を売る人間に相談することが必要になる。専門家による知識が必要なのは言うまでもない。しかし、大前提となるがあなた自身が生命保険についてどのように判断すればよいか知っていることが重要だ。私は物を買う際には、売り手が『本当のことを言っているかどうか判断できる』まで買わない。売り手と買い手の間にはとにかく持っている情報に差がある。特に生命保険は情報差異が顕著だ。
『売り手の話の真偽』を判断するために買い手が勉強しなければならないのだ。そうでなければ売り手がAIだろうと人間だろうと買い手は騙されるリスクを負わなければならなくなる。
当サイトは買い手が自分で勉強して生命保険を選べるようになることをコンセプトに作っている。その思想はひどく財布の紐を固く締めることを意識している。もしあなたが売り手に騙されることを心配せずに生命保険を選びたいなら、当サイトできちんと勉強してほしい。