生命保険の資格の種類は何がある?役にたつものから役に立たないものまで徹底解説

生命保険を販売することに関して必須の資格はたった一つしかない。

それは生命保険募集人という資格だけだ。

販売資格に関係ないところで言えば、生命保険面接士だとか、支払査定の資格だとか色々あるが、あまり一般的ではない。

それにもかかわらず、なぜ『生命保険会社は資格勉強が大変だ』と言われるのか。なぜそんなに取得しなければならない資格の種類が多いのか。それらは仕事に役に立つ資格なのだろうか。徹底的に解説しよう。

生命保険を売るために必須の資格

冒頭書いた通り、生命保険を売るために取らなければならない資格は1種類しかない。

『生命保険募集人』という資格である。生命保険に関わるこれ以外の資格はある意味、『箔をつける』ために取るためのものだ。極論すれば、『生命保険募集人』の資格以外は取らなくてもいいくらいだ。まあ、たいていの場合、『取れ』といわれた資格はとらないと所属する会社内で昇格できなかったり、売れる商品を制限されたり、最悪辞めなければならなくなるので、事実上他の資格も必須だが・・・

『生命保険募集人』資格は一般人が誰でも受けられる資格ではない。生命保険会社、あるいは生命保険募集代理店(生命保険を売る銀行や証券会社なども含む)などに所属していることが必要だ。例えば一般の大学生が就活のために『生命保険募集人』資格を取ろうとしても、受けることができないだろう。

とは言っても、生命保険のセールスは恒常的に『絶賛採用中!誰でも入れる職場!入社したらすぐ客のところへ行かせ懇切丁寧に教えます!ギスギスとした雰囲気のいい職場!』なので、特に生命保険会社に所属すること自体はそれほど困難ではない。

生命保険会社や生命保険募集代理店に所属し所定の研修を受けたあと、『一般課程試験』という試験を受け合格すれば、生命保険募集人、つまり生命保険を売る資格を得ることになる。試験の難度ははっきりいって簡単だ。詳しくは下記記事を参照してほしい。

生命保険一般課程試験の難易度

ちなみに、生命保険会社の総合職が一般課程試験で1度でも不合格になったりすると、研修担当や人事部から猛烈な雷を受けることになるだろう。ハッキリ言って総合職であれば満点を取らなかったら怒られるというレベルだ。私の知り合いの範囲では一般課程試験に不合格になったことのある総合職はいないが、新入社員の中にはぼちぼちそういった事例があることを聞いている。私が人事部であれば簡単とはいえ業界人として必須の試験(合格しなければ生命保険が売れない)で不合格になるような人間など、まともな評価をしない。

当然総合職は一発で一般課程試験に合格しよう。

生命保険を売るためには本来不要だが実質的に受けることが強制される資格の種類

『一般課程試験』でとる『生命保険募集人資格』以外の資格は生命保険を売るということだけであれば不要な資格ばかりだが、『生命保険募集人資格』以外の種類の資格も取らないと昇格や雇用の継続にすら影響するので、実質的に取らなければならない資格となる。

専門課程試験

『一般課程試験』の次のグレードの試験となるのが、『専門課程試験』だ。字面だけ見ると非常に難易度が高そうに思えるが、難易度自体は大したことはない。詳しくは下記記事で。

生命保険専門課程試験の難易度

むしろ『専門課程試験』に合格しないと、特に生命保険会社に所属する生命保険セールス(生保レディなど)は雇用を打ち切られる。生命保険セールスは入社後、販売ノルマとは別に、資格取得のノルマがある。『専門課程試験』はその一つだ。たいてい入社1・2年以内には合格しなければならないだろう。

ちなみに、生命保険会社の総合職が専門課程試験で1度でも不合格になったりすると、大きく人事評価にひびくので注意しよう。ほとんどいないが、専門課程試験に不合格になった経験がある総合職はたいていの場合昇格が遅れることになる。この程度の試験で人事評価を下げるのはつまらないので、総合職の人もきちんと1発で合格しよう。

応用課程試験

『専門課程試験』の次のグレードになるのが『応用課程試験』だ。『専門課程試験』からさらに難しくなった試験になる。とはいうもののまだまだ世間一般の資格試験と比べ、難易度が特段高いわけではない。詳しくは下記記事で。

生命保険応用課程試験の難易度

『応用課程試験』も合格しないと、生命保険セールス達は資格ノルマに阻まれ退職を余儀なくされる。入社後2~3年くらいで取得してしまうのが一般的だ。このあたりからセールス達の合格率が悪くなってくる。

総合職であれば応用課程試験あたりまでは一発合格が求められる。それにもかかわらず、不合格になる人間が毎年一定数いるのだ。

間違いなく昇格が遅れる原因となるので、余計な減点は避けよう。特に営業数字等で挽回が効かない事務職の人は。

変額保険販売資格試験

『応用課程試験』と同時実施されているのが『変額保険販売資格試験』だ。字の通り変額保険を販売するためにはこの資格試験に合格しなければならない。外資系の生命保険会社だったり、国内でも大手の生命保険会社だと変額保険を扱っている場合があるので、販売するためにはこれが必須となる。販売しない会社でも『応用課程試験』と同時実施される関係から、事実上取得が必須だったりする。

変額保険は預かった保険料を特別勘定という、通常の保険料とは異なる運用を生命保険会社が行う。簡単に言えば、リスクの高い投資をする商品だ。保険会社の運用成績次第で、保険金額が変動する。投資信託みたいなものなので、通常の保険とは異なる販売資格が必要になるわけだ。とは言っても難易度はやはり一般的な資格と比べ特段高いわけではない。

生命保険大学課程試験

『大学課程試験』となると、『応用課程試験』から難易度が跳ね上がる。生命保険セールスはこれらの資格取得は必須となっていないところがほとんどだ。取らなくてもよい資格なので、たいていの生命保険セールスは一部の意識の高いセールスを除いて取得しない。取得すると名刺に生命保険について高い専門性を有している証として『トータルライフコンサルタント(TLC・生命保険協会認定FP)』などと書ける。名刺の箔付の一種だろう。とは言うものの知名度が世間的にほとんどない資格なので、1級・2級のFP資格を取ったほうがよほど、世間受けはよい。ちなみに私も取ったことがない。

生命保険講座

主に生命保険会社の総合職が受ける試験だ。資格試験と呼べるかあやしいが、生命保険会社の総合職は生命保険講座に合格しないと、出世が途中で止まる。具体的には主任レベルまででストップだろうか。ただし、この生命保険講座がなかなか理不尽な試験だ。全8科目すべてに合格しなければならず、1科目ごとの難易度が『生命保険大学課程試験』レベルだ。生命保険会社の総合職の最大難関として立ちはだかるだろう。

悪いことに絶望的にテキストがつまらないのだ。まさに大学の授業を受けているよう・・・

生命保険セールスレベルではもはや取得するのは趣味のレベルだ。とは言っても『生命保険大学課程試験』と同じように、知名度が低い試験なので、名刺に書いたりはしない。先述のとおりFP資格を素直に取るほうが有用だ。

8科目の詳細は以下の通りだ。

  • 生命保険総論
  • 生命保険計理
  • 危険選択
  • 約款と法律
  • 生命保険会計
  • 生命保険と営業
  • 生命保険と税法
  • 資産の運用

特に難易度が高いのが『生命保険経理』と『約款と法律』、『生命保険会計』あたりだろうか。他のものは生命保険一般課程試験から応用課程試験、あるいはFP資格あたりと内容が重複しているものも多いのでそれほど苦労はしないが、『生命保険計理』は純粋に数学の世界で大学数学レベルの内容があったりする。数学の苦手な人には特に苦労する科目だ。

生命保険会社の総合職はこれらの取得が必須だったりするのだから恐ろしい・・・。

名刺の箔付に最適な資格、FP(ファイナンシャルプランナー)資格

ここまでは取得が必須か、事実上必須になっているような資格の種類を説明した。ここからは必須ではないが、取得すると収入が増えたりするなど有益な資格について解説しよう。

まずはFP資格だ。

じつはファイナンシャルプランニング技能士それ自体は、弁護士や税理士、宅建などの士業の国家資格と違い、取得したところで独占業務というのが存在しない。FP資格をもっていなくともファイナンシャルプランニングの仕事はできる。つまり完全な箔付の資格だ。これだけ書くと魅力が薄い資格に思える。

しかしFP資格は社会的な知名度がかなり高い。大学生が就活の資格取得の一環で意味なく取る資格の筆頭格といってもよいし、暇な主婦が取ったりする資格としても有名だ。サラリーマン以外も多く(意味もないのに)受ける資格なので、知名度が抜群に高い。『生命保険大学課程試験』『生保講座』などと比べて難易度が高いわけではないのだが、FP資格は名刺に書くと、その知名度により箔付として素晴らしい効果があるだろう。社会的な信用のために取得する資格と言ってよい。

FP資格は主要なところでは2種類の資格があり、級別に分かれているイメージだ。それぞれ受験資格が変わったりする。

3級ファイナンシャルプランニング技能士

FP資格の登竜門だ。

3級FPでは学科試験と実技試験に分かれていて、合格点はおおむね6割前後と言われている。学科試験はひたすら選択問題だ。実技試験は口頭試験を行うというわけではなく、計算問題を解き記述したりするだけだ。コミュニケーション能力に問題があっても一向にかまわない。

ハッキリ言ってFP3級では、名刺に書いたところで恥ずかしい思いしかしないだろう。あなたが顧客だったとして、名刺に3級○○とかいう資格が書かれていたらどう思うだろうか。『なんだ・・3級かよ・・・』と思わないだろうか。3級FPではあなたの金融知識に関する専門性をアピールすることは難しいだろう。

実際、3級FPは少し頭のいい人なら一夜漬けで突破してしまう人もいるくらい、難易度が低い。とはいっても金融知識も不動産知識も税金知識もなにもない初学者だと、それなりに範囲が広いので苦労することになるかもしれない。

さて、そんな取得意義の疑われる3級FPだが、なんと受験資格が存在している。試験を主催する金融財政事情研究会のHPによれば、学科試験・実技試験ともに『FP業務に従事している者または従事しようとしている者』だそうだ。事実上誰でも受けられる試験だ。金融機関に勤めてある程度年数がたつと『実務経験があり』とみなされ、いきなり2級FPから受けられるが金融機関勤めでなかったりFP業務の経験がないような主婦や学生など初学者がFP試験の階段を上がっていくには3級FPを取らなければならない。3級を合格しなければ素人は2級を受けられないからだ。

就職活動でアピールしたい大学生は3級ではなんのアピールにもならないので、2級や1級を目指して早いうちから3級を取っておこう。1年に3回しか3級の試験は実施されない。計画性が必要だ。

2級ファイナンシャルプランニング技能士

FP資格も2級ともなれば、金融知識について『まあ最低限の知識はあるかな?』程度には見られるようになる。ライフプランニング・税金・不動産・保険・投資・相続など幅広い知識が身に付くものの、やはり広く浅くといったところだ。実務経験がない2級FPなどざらにいるが、まともな相談業務ができるわけでもない。2級FPといえども、基本的には保険や不動産、銀行の人など専門業務を持つ人が知識を広げるために2級を受けるものだ。

2級でも頭のいい人は3・4日の勉強期間で突破する。その程度の試験なのだ。頭のいい人でも1年・2年平気で勉強しなければならない弁護士資格などとは大違いだ。

2級FPも3級FP同様受験資格が存在する。試験を主催する金融財政事情研究会のHPによれば、学科試験・実技試験ともに以下のいずれかで受験資格があるそうだ。

  • 3級技能検定の合格者
  • FP業務に関し2年以上の実務経験を有する者
  • 日本FP協会が認定するAFP認定研修を修了した者
  • 厚生労働省認定金融渉外技能審査3級の合格者

たいていの場合『3級FP合格者』か『FP業務に関し2年以上の実務経験を有するもの』の要件を満たして2級を受験する。『FP業務に関する2年以上の業務経験』とは端的に言えば金融機関や不動産会社、会計士や税理士などの仕事をしていればよい。『保険会社で事務しかしていないんだけど・・・』でも大丈夫だ。このような人は3級を受けずに2級から受けることができる。

金融機関にいる人でも新入社員など2年の経験がない人は3級を合格している必要がある。

2級も1年に3回しか試験は実施されない。

1級ファイナンシャルプランニング技能士

FP資格も1級となれば堂々と名刺に書いてアピールしてよいだろう。2級までの試験はかなり大衆的な資格と言ってよいが、1級となると難易度が跳ね上がる。まずテキストがあまり出回っていない。そして出回っていない分テキストが高い!試験範囲のテキストをすべてそろえると2万円くらいかかる。しかも受験料まで跳ね上がる。2級までは学科・実技合わせても1万円を超えることはないが、1級は学科・実技合わせると3万円を超える。費用面でもいろいろハードルが高いのがFP1級だ。

1級FPも受験資格が存在するが学科と実技で受験資格が分かれる。まずは学科の受験資格だ。

  • 2級技能検定の合格者
  • FP業務に関し5年以上の実務経験を有する者
  • 厚生労働省認定金融渉外技能審査2級の合格者で、1年以上の実務経験を有する者

金融機関勤めが長ければ2級までスルーできるらしい。まあたいていの金融機関は2級FPくらいとるよう人事制度から求められるので取得しなければいけないだろうが。

そして晴れて1級FPの学科に合格すると実技の受験資格が得られる。ただし学科合格による受験資格が効くのはせいぜい2年程度だ。学科に受かって放置し続けると実技の受験資格がなくなるので注意だ。

実技試験まで合格すれば、1級ファイナンシャルプランニング技能士は永久に資格がなくならない。後述するAFPやCFP資格よりその点では便利だ。

AFP

一応国家資格であるファイナンシャルプランニング技能士とは異なり、日本FP協会認定の民間資格であるFP資格の一つがAFPだ。おおむね2級FP相当とされる。

FPの業界の中では2級FPより格が高いらしい。ちなみに私はAFPを保持していない。理由は国家資格のほうと異なり更新料がかかったり継続教育を受けたりと面倒が多いからだ。

そして一般の消費者に『私はAFPです』と名乗っても顧客からすれば『AFPってなんだよ・・・』というくらいには一般での知名度は低い。

特別なスキルアップを求めないなら、素直にFP2級を受けることをお勧めする。

CFP

AFPの上位資格扱いである。1級FP相当ともいうが、やはり1級FPより格が高いらしい。なぜならCFPは国際的なFP資格だからだ。民間資格だけど・・・。

そしてAFPと同様更新料がかかったり継続教育を受けたりと面倒が多い。

FPとして真に知識を極めたいならCFPを取ってもいいのかもしれない。

損害保険に関する資格

今どき保険業務にかかわるなら、生命保険業界・損害保険業界どちらに身を置いていようと、両方の業界の商品を取り扱ったり知識を持っていることが必要だ。それは顧客相談業務をする上でお金のことを総合的に考えることができ、顧客の信頼度が増し、よりビジネスチャンスが広がるからだ。『生命保険会社勤めだから損害保険は苦手・・・』とか言っているとこの先業界の変化についていけなくなるだろう。

それでは損害保険関連の資格について解説する。

損害保険一般試験(基礎単位)

生命保険とは別の保険種類として損害保険がある。自動車保険や火災保険、ゴルフ保険などが一般的に知名度がある。多くの生命保険会社が損害保険を扱える体制にもなっていて、生命保険セールスたちが、生命保険とは別に自動車保険などを顧客に勧め、手数料を得ている。

損害保険募集人資格は、損保一般試験という試験の中の『基礎単位』という試験に合格することで損害保険募集人として登録を受ける資格が得られる。

損害保険募集人資格自体は生命保険の一般課程試験同様のレベルなので、資格としての知名度や価値はそれほど高くない。

しかし生命保険とは別に損害保険を扱えることで顧客の保険事務を囲い込めるのでセールスにとっては収入アップにつながる。名より実の資格と言えるかもしれない。

私はよく生命保険と同時に自動車保険や火災保険の見直しを総合的に行い、『自動車保険を安くし、その予算で生命保険を手厚くする』などのセールスも得意だった。セールスとして顧客に話せることが増えるのは間違いなくプラスになると言える。

難易度は易しいとは言ったものの、初学者が一夜漬けで合格できるほど甘くはないので、それなりの準備は必要だ。

損害保険一般試験(商品単位)

損害保険募集人資格は、損保一般試験という試験の中に『基礎単位』と『商品単位』がある。

『基礎単位』に合格すると損害保険を販売する資格を得られるが、それだけでは特定の商品を取り扱うことができない。

損害保険の中で主要な商品である『自動車保険』『火災保険』『障害保険』を販売するためには、基礎単位と同時に各商品単位の試験にも合格しなければならない。損害保険は生命保険と異なり保険種類が多く、かつ保険金の支払われ方が複雑なので、生命保険の一般課程試験よりは難易度が高いと言える。

損保大学課程

損害保険業界の上位資格である。

これにより何かの商品が販売できるようになるわけではないので、生命保険業界における専門課程試験や応用課程試験、大学課程試験と同様に知識を深めるための試験と言えるだろう。

『専門コース』と『コンサルティングコース』に分かれていて、合格するとそれぞれ損害保険プランナー・損害保険トータルプランナーを名乗れるらしい。生命保険の専門資格と損害保険の専門資格を並べて名刺に書ければかなり、顧客へのアピールになるかもしれない。

生命保険会社の総合職の場合さらに多くの資格取得が必要

生命保険セールス達には直接関係ないが、生命保険会社の総合職は幹部候補生として多種多様な資格試験を受ける。毎年一定の資格取得を推奨している会社が多い。昇格に必須条件になっている資格があったりする。昇格のための資格なので試験を合格しさえすれば大半の知識が抜けることになる。いったい何のための資格なのだろうか。大会社の人事はそうでもしないと人の評価に優劣をつけることは難しいのだろうか。

TOEICなどはもちろん、銀行業務検定など何に使うのだろうかと思われる資格もある。銀行は生命保険を販売したりするので、銀行員が生命保険関連の資格を取るのは理解できるが、生命保険会社は基本的に銀行業務を行っていない。それなのに銀行業務検定とはこれいかに・・・

一方で、全員が必要な資格ではないが特定の部署に異動したいがため難関資格を取る総合職もいる。

銀行業務検定

『ぎんけん』などと略されることが多い。これをたいてい3級あたりから取得していくのだが、3級と言えど難易度が高い。テキストがわかりにくい上、過去問がFP試験などほど出回っていない。私にとってはハッキリ言ってFP2級のほうが簡単に感じたくらいだった。

科目が非常に多く分かれていて『法務』『財務』『税務』『証券』『デリバティブ』『金融経済』『年金アドバイザー』・・他多数、とある。およそ保険業界に関係ないような科目も存在している。保険業界の人間にとっては『年金アドバイザー』『税務』あたりがとっかかりやすい、らしい・・・。私は『証券』と他になんだったか・・・。成績優秀者には賞状が贈られるそうだ。

(保険)コンプライアンスオフィサー

金融機関はコンプライアンスに非常にうるさい。

当然、社内的にコンプライアンス関係の資格をとることを推奨される。コンプライアンスオフィサーはその中でもメジャーな資格だ。メジャーと言っても一般の知名度はほとんどないだろうが・・・。

ルールや規則の話なので、勉強としては絶望的につまらない。歯を食いしばって試験に合格することのみ目標にしていたような記憶がある。

TOEIC

言わずと知れた英語資格だ。

特に大手の保険会社であれば海外進出は常に意識されている。当然英語が使える人材を必要としている。保険会社でなくともそうだが、海外で仕事をしたいという人は、自分の勉強のためにTOEICの点数を取るのも大事だが、それ以上に人事部へのアピールという意味で高得点を狙いたい。

もちろん海外で仕事をするには英語力だけでなく、根本的になビジネス能力が必要だが、英語ができなければ話にならないのもまた事実だ。

アクチュアリー(保険計理人)

保険会社の中の専門職の中の専門職。それがアクチュアリー(保険計理人)だ。

もはや一般的なレベルの資格ではない。『大学で理学部数学科でした』というような人がそれこそ在学中から勉強したりして取得する資格がアクチュアリーだ。アクチュアリーは生命保険商品の保険料計算をしたり、生命保険会社の経営指標や損益計算など数理関係の仕事を行う。経営の中枢や商品企画、リスク管理部門など、保険会社の中枢で大事なところに配属されている。専門職なので、営業現場に回ったりすることはまずない。

そしてただでさえ給料が高い保険業界の中で、アクチュアリーはさらに給料が高い。専門職なのだから当然だ。

アクチュアリーにも格があり、何科目かある試験にすべて合格して『準アクチュアリー』となり、さらに長い業務経験を得て『正アクチュアリー』となる。とんでもなく修業期間が長いことでも有名だ。

資格難易度としては弁護士や公認会計士など難関資格を上回るとも噂される。

現在大学生で、数学に自信のある人は保険会社のアクチュアリーを目指すのもよいかもしれない。

証券アナリスト

証券アナリスト協会という機関が認定する民間資格だ。だがその難易度はかなり高い。アクチュアリーほどではないにしろ、そこそこ高度な数学と経済学の知識を要求し、1次試験と2次試験があり、資格取得まで最短で1年半から2年程度といった資格だ。

『経済』『証券分析』『財務分析』が主な科目となっており、これでアナリストとしては入門というのだからそら恐ろしい。

世間的にはそれなりの難関資格で有名だ。

保険会社は大量の資金を預かる金融機関であるので、預かった資金を運用する部門が存在する。その資産運用部門は多くの証券アナリスト資格保持者が存在している。

もしあなたが、保険会社で資産運用部門を希望するようなら証券アナリストくらい持っていないと話にならない。逆に言えば証券アナリストを取得すれば『俺は資産運用部門に行きたい!』という強烈なアピールになるだろう。

保険仲立人資格

一般に知名度がないが、通常の保険募集人資格とは異なる保険の資格が存在している。

それが保険仲立人資格だ。

保険仲立人とは、一般の生命保険セールスなどが取得する生命保険募集人とは異なり特定の保険会社に所属せず、保険契約の媒介を行う。

たいていの生命保険セールスはA生命保険所属だったり、あるいは複数の生命保険会社の商品を扱っていたり、生命保険・損害保険商品どちらも取り扱う兼営代理店であったりする。

そのいずれもが、1つあるいは複数の保険会社と委託契約を結ぶなど特定の保険会社の商品を取り扱い、その保険会社のために保険商品を募集する。

生保レディなどは実は生命保険の媒介なので、保険仲立人に近い部分もあるが、どこかの保険会社専属の募集人である。

一方、保険仲立人はどの保険会社にも属さずに顧客の依頼を受けて最適な組み合わせを探し、保険会社とのまさに媒介を行う。従来の保険募集人とは異なり、より顧客の側に立った保険募集業務を行う。

保険仲立人資格試験

保険仲立人になるには資格が必要であり、日本保険仲立人協会が主催する『生命保険仲立人試験』『損害保険仲立人試験』に合格する必要がある。

難易度はハッキリ言って、通常の『損害保険一般試験』や『生命保険一般課程試験』より圧倒的に高い。損害保険分野に限ってみても、賠償責任保険や船舶保険など特殊な種類の保険についても勉強しなければならない。

保証金制度

保険仲立人資格をマイナー資格たらしめているのは、保証金制度の存在である。

保険仲立人と一般の保険募集人との違いは、先に説明したとおり『保険会社に所属して』あるいは『保険会社を代理して(代理店委託契約など)』いるかどうかだ。保険仲立人の募集行為による顧客の損害について保険会社は責任を負わず保険仲立人自身が責任を負うことになる。

ゆえに顧客に損害を与えた場合を想定して、その賠償資力として保証金を供託しなければならない。

そしてその金額がなんと2000万円だ(しかも最低で!)。

一般の生命保険や損害保険のセールスまたは代理店になるのは比較的簡単だ。少なくとも2000万円もの資力を要しない。生保レディなど、なろうと思えばすぐなれる。

しかし保険仲立人資格は資格試験もさることながら、この保証金制度によりなり手が非常に限られる。ある程度資力のある法人などでなければ保険仲立人業務を営むことも難しいだろう。

まとめ

冒頭述べた通り、生命保険の販売資格として必須なのは一般課程試験を合格することによる『生命保険募集人資格』だけだ。しかし実質的に『専門課程試験』『応用課程試験』あたりも取得が必要となる。あとの資格は実利を踏まえて取得するか否かを決定するとよい。ちなみにほとんどの資格は生命保険のコンサルタントやライフプランのコンサルタントの勉強にはならない。FP1級くらい取得しないと、きちんとした専門知識でコンサルしているとは言えないレベルだ。一般課程試験から大学課程試験までは実務に役立つ知識はそれほど身につかない。また人気のFP資格も2級、3級では同様に役に立たない機会が多い。1級になると難易度が跳ね上がる分、幅広く知識が身につくので、可能なら挑戦するとよいだろう。