当記事はメインコンテンツ『毎月の保険料を2万5千円減らし金持ちになる生命保険の選び方』の中の一つのコンテンツ『死亡保険の選び方』である。メインコンテンツを冒頭から読んでいない人はそちらをまず参照することを推奨する。私が作成した『生命保険加入エクセルチェック表』を使うことが前提となっているからだ。
Contents
1 当記事『死亡保険の選び方』の構成
チェック表上では『収入保障保険』と『定期保険』の死亡保険の部分の話を進めていく。
死亡保険の選び方では以下の5ステップに従って解説していく。
- あなたにとって死亡保険が必要かどうか
- 必要な死亡保険の保障期間
- 必要な死亡保険の保障金額
- 必要な死亡保険のおおよその予算目安
- どの保険会社から死亡保険を加入するかの候補
2 あなたにとって死亡保険が必要かどうか
まずはあなたにとって死亡保険が必要かどうかを検討することから始める。
ここで『不要』と判断できれば、あなたはチェック表に『不要』とチェックし、もうそれ以上死亡保険について検討する必要はない。
不要な場合、もちろん予算は0円だ。
なぜあなたにとって死亡保険が必要か不要か判断しなければならないのか。
答えは『世の中には不要にもかかわらず死亡保険など生命保険に入り、保険料を無駄払いしている人が多すぎる』からだ。
保険料を無駄払いすればそれだけあなたの人生の満足度が損なわれていることになる。
保険料の無駄払いがあなたの人生に与える影響をしっかり確認するため『生命保険の保険料の無駄払いを放置し続けた人の末路』を一読することをお勧めする。
2 – 1 死亡保険が必要か不要か判断するための最も基本的なこと
死亡保険は加入者が亡くなった際に、死亡保険金受取人にまとまった金額(『一括で2000万円払う』など)、あるいは定期的に決まった金額(『月額20万円をあらかじめ決められた時まで払う』など)が支払われる。
死亡保険が必要か不要かどうかは、加入者が亡くなった際このような大きな金額を必要とする人がいるかどうかで判断する。
言い換えると『自分が亡くなると経済的に困る人がいるかどうか』で死亡保険の必要性を判断する。
典型的な例では、死亡保険の加入者によって生計を維持されている人(専業主夫(婦)、自分で稼いでいない子供など)は、その家族の収入の大半を得ている人が亡くなると、生活費や学費など経済的に困ってしまうだろう。そのような万が一の際の経済的困難を助ける手段の一つが死亡保険である。
逆に言えば、万が一の事態があっても『誰も』『経済的に困らない』というのであれば、死亡保険は必要ない。
例えば、以下のような場合は死亡保険が不要な典型的な例だ。
- 自分は独身で、自分が亡くなってら両親が悲しむかもしれないが、お金には困らない。
- 結婚しているが、子供はまだおらず、パートナーはきちんとした収入があり自分が亡くなっても経済的に自立していける。
- 自分が亡くなりその分の収入がなくなっても、蓄えが十分あるから家族は問題なく生活していける。
よって、死亡保険が必要かどうかは個々の家庭事情に大きく左右される。
とは言っても、目安としては死亡保険が必要になるのは小さい子供がいる場合、できた場合が大半である。子供の有無を死亡保険の必要性を判断する目安とするのが最もわかりやすい。子供とは言っても自分で収入を得られ、扶養を必要としない子供は除く(社会人になって働き始めるなど)。
子供がいない場合は独身だろうと結婚していようと、誰かが経済的に困ることは今どき少ないだろう。子供がいなくとも収入を得ている人が亡くなったことで経済的に困る人がいる場合(パートナーが働けない事情がある場合、親を養わなければならない場合など)は死亡保険は必要だ。
最終的には、家族の考え方次第である。
『わたしが亡くなったらあなたがしっかり稼げばいい』『うちは親も養わなければいけない』『死んだあとのことなど当事者の責任でなんとかしろ』などといろいろな考え方があるだろう。そのあたりの価値観も死亡保険の要・不要を考える際の要素となる。
まあ、一般論としては初めて死亡保険が必要になるのは子どもができたときだ。
2 – 2 死亡保険の必要性を判断する際のよくある間違ったやり方
死亡保険に限らないが、生命保険の必要性を判断するときの間違ったやり方を紹介しよう。
そしてこれは決して他人事ではない。大半の人がこのような観点で死亡保険に加入しているからだ。
『自分が亡くなると経済的に困る人がいるかどうか』で死亡保険の必要性を判断すれば、以下の各観点はほとんどの場合、死亡保険の必要性とは関係ないことがわかるだろう。
間違った判断その① 『社会人になったら』加入する
新卒社会人になるとよく生命保険セールスを通じて生命保険に加入してしまう人が多いが、このような人たちは『自分が亡くなると経済的に困る人がいるかどうか』で生命保険の加入を判断したのだろうか。
たいていの場合が違うだろう。社会人になったからと言って、それをきっかけに突然『自分が亡くなると経済的に困る人』ができるわけがない。むしろ、親の生命保険の負担を減らすタイミングとしては重要だ。
基本に立ち返れば考慮に値しないことがわかるだろう。
間違った判断その② 『結婚したら』加入する
結婚すると生命保険を勧められることが多い。
しかし、結婚したからといってその時点ではパートナーが『自分が亡くなると経済的に困る人』には該当するとは限らない。今どきは結婚する前は男女問わずたいていの人が自分で収入を持っている。結婚するとすぐに専業主夫(婦)にでもなるなら話は別だが、今は昭和ではないのだ。結婚前にすでに子供がいるなら死亡保険も必要だが、それは子供の有無で判断されるべき問題であって、結婚したかどうかは直接関係ない。
『結婚したら生命保険くらい必要』などという根拠のない話に惑わされないようにしよう。
間違った判断その③ 年齢が上がる前に加入する
生命保険セールスはよく『もうすぐあなたの契約年齢が上がります。そうすると保険料が高くなるので今のうちに入ったほうがいいですよ』などという。
保険料が上がろうがなんだろうが、生命保険が必要なければ関係ないのだから入らなければよい。
間違った判断その④ 世間の平均値を気にする
繰り返しになるが死亡保険は『自分が亡くなると経済的に困る人がいるかどうか』で必要性を判断する。
だから、世間の平均が仮に『30歳で初めて生命保険に入っている』としても、『平均で2000万円の保険金が契約金額』であろうと、『平均で3万2千円保険料を払っている』としてもあなたには関係ないことだ。
必要がなければ20歳だろうが、50歳だろうが、男性だろうが女性だろうが死亡保険に加入しなくてよいし、必要なら例え50歳であろうと大きな死亡保障は必要かもしれない。
世間の平均とあなたの事情は確実に異なるはずだ。どれだけスマホが流行っていようと、それで十分だと思えばいつまでもガラケーの人がいるように、生命保険も世間がどうあろうと関係ないのだ。
ガラケーであれば見た目ダサいという人もいるかもしれないが、あなたの生命保険は世間の誰も見えないし気にしない。
2 – 3 死亡保険の必要性が判断できたらエクセルチェック表に記入しよう
もうあなたは『死亡保険が必要か不要か』を判断できるだろう。
おさらいすると、『自分が亡くなると経済的に困る人がいるかどうか』を基本にして、『幼い子供がいる、あるいは子供ができる』なら死亡保険が必要である可能性が高い。あとは個々の特別な事情があればそれを判断に加えてもよい(『子供が小さいけど貯金が十分あるから不要』、『親も養わなければいけないから独身だけど必要』など)。
さて、エクセルチェック表に『要・不要』を入力する上で一点注意しなければならない。
死亡保険は収入保障保険と定期保険の2種類がある。
死亡保険が『不要』と判断した人はどちらも不要でよいが、死亡保険が必要と判断した人は収入保障保険を『必要』とし、定期保険は『不要』でよい。収入保障保険が登場して以来、定期保険は特殊な場合を除いてその存在意義がなくなってきている。なぜそうなるかは次項目の『必要な死亡保険の保障期間』とその次の『必要な死亡保険の保障金額』を見てもらえればわかる。
死亡保険が必要だと判断したら、エクセルチェック表の記入は以下のようになる。
もし死亡保険が不要と判断した人はもうこれ以上『死亡保険の選び方』を読む必要はない。メインの『毎月の保険料を2万円減らし金持ちになる生命保険の選び方』に戻り他の保険商品を死亡保険と同じように判断していこう。次は『就業不能保険の選び方』だ。
必要と判断した人は引き続き、『必要な死亡保険の保障期間』に進む。
3 必要な死亡保険の保障期間
死亡保険の保障期間とは一般的に保険の契約期間のことを指すが、考慮しなければならないのはそれだけではない。
死亡保険が必要な人は遺族のためにお金を残すわけだから、残すお金がいつまで残ればよいのかを考慮する必要がある。
例えばあなたに5歳の子供がいたとして、仮にその時点であなたが亡くなったとして、生命保険金がいつまで5歳の子供や残された遺族の経済的面倒を見てあげればよいのかを考える。
このことは死亡保険のひとつ『収入保障保険』を検討する上で大切な知識になるのできちんと理解しよう。
3 – 1 死亡保険金をどのように使うのか
死亡保険が遺族の生活保障のためにあるのだとすれば、死亡保険金は生活保障になるように確実に使われなければならない。
なんのことを言っているのかというと、いわゆる定期保険と言われるような『亡くなった時に一括で大金がもらえる死亡保険』は本来の役割のために使われないことがよくあるということだ。
定期保険の死亡保険金は何千万というお金が一度に入ってくる。
大きな死亡保障を必要とするような子供がそれほど大きくないような家庭では、銀行口座に何千万ものお金があることは少ないだろう。
いきなり大金が入ってきて『その後の生活のために計画的に使え』と言われても難しい。
保険金受取人が浪費に走ることもしばしばだ。
よって、できれば毎月決まったお金を保険金として受け取れる、生命保険会社の宣伝文句を使えば『亡くなった人の給料の代わり』になる死亡保険がよい。このような死亡保険が『収入保障保険』である。
死亡保険の要・不要を判断したときに、死亡保険が必要と判断した人でも『定期保険』を『不要』にしたほうがよいのはこれが理由である。
『亡くなった人の給料の代わり』というキーワードはこの先もよく使うので、覚えておいてほしい。
またこの先の話は基本的に『亡くなった人の給料の代わり』になる『収入保障保険』について書いている。
3 – 2 いつまで保険金が必要になるのか
万が一の際、『亡くなった人の給料の代わり』はいつまでもらえればよいのか。極論すればいつまでももらえることに越したことはない。
しかし、いつまでももらえるとなると、どんどん保険料は指数関数的に高額になるのである程度で見切りをつけなければならない。
死亡保険が必要か不要か判断するときに『子供がいるかどうか』というポイントがあった。
子供がいるかどうかは万が一の際の遺族の家計バランスに大きなインパクトを与える。子供は生活費だけでなく教育費も大きくかかるからだ。
子供が自分で稼げるようになれば、子供のための生活費や教育費はもはや不要になるので、子供が自分で稼げるようになる年齢までの間『亡くなった人の給料の代わり』として保険金が毎月もらえるようにするのが一つの目安だ。
具体的には子供が18歳、大卒が多い現状を考えると子供が22歳になるまで保険金が毎月もらえるようにするのがよい。
それ以上の期間、例えば『夫が亡くなった場合、妻がなるべく長く楽がしたいから』などという理由で、保険金をもらえる期間を長くしたいなら、支払う保険料との兼ね合いになるだろう。
※子供が独立することで生活費は一気に減少するイメージ
3 – 3 いつから保険金が必要になるのか
当たり前すぎる話だが、遺族の経済的保障が必要になるのは生命保険の加入者が亡くなったその時からだ。
しかし『亡くなるのはいつになるかわからない』という点に注意しなければならない。よって、保険金(亡くなった人の給料の代わり)が必要になる期間の起点は決まっていないのだ。
例えば、あなたが現在30歳で子供が生まれたから死亡保険に加入したとしよう。
そして『いつまで保険金が必要になるのか』で指摘した観点から、子供が22歳になるまで『亡くなった人の給料の代わり』として保険金が毎月もらえるようにすると仮定する。
もしあなたが加入直後、子供の年齢で考えれば0歳のときにあなたが亡くなったら、子供が22歳になるまで22年間、保険金を毎月受け取る必要がある。
加入後3年後の時点で亡くなったら、そのとき子供は3歳で、子供が22歳になるまで19年間、保険金を毎月受け取る必要がある。
同様に加入後10年の時点で亡くなったら12年間、加入後15年の時点で亡くなったら、7年間保険金を毎月受け取る必要がある。
起点がいつになるかわからない以上、『亡くなった人の給料の代わり』がいつまで必要になるのかは、加入者がいつ亡くなるかで変わる。
※加入者がいつ亡くなるかで死亡保険金が必要な期間は変わることのイメージ
このことは、加入者がいつ亡くなるかで必要な保険金総額が変化することを意味する。
仮に毎月20万円保険金がおりるようにしたら、22年間では5280万円必要だし、7年間では1680万円に減少する。
※加入者がいつ亡くなるかで死亡保険金が必要総額(毎月20万円を想定)が変わることのイメージ
死亡保険を検討する際は、このように死亡保険に加入後、年々『亡くなった人の給料の代わり』が必要な年数は減っていくことを考慮しなければならない。
加入時に子供が0歳だからと言って、毎月20万円・22年間で5280万円必要だからといって、5280万円の定期保険に加入すると大変なことになる。
定期保険は契約期間中いつ亡くなっても保険金がおりる。
5280万円の定期保険であれば、加入直後に亡くなっても5280万円おりるし、契約満了直前に亡くなっても5280万円おりる。
もし子供が0歳のとき5280万円の定期保険に加入して、子供が20歳のときに加入者が亡くなったとすると、必要な保障金額の総額480万円(毎月20万円)に対して、保険金は5280万円おりる。
必要な金額に対してあまりにも過剰だ。保障が過剰な部分はつまり保険料が無駄になっているということになる。
保険金がおりない、つまり加入者が亡くならない確率のほうが高いのだから、無駄は極力省かなくてはならないが、こうしたことを知らずに保険に入る人が多く、保険料を無駄払いする原因の一つがこの『必要な保障金額は加入後変化する』ということを知らないことである。
このことは死亡保険に定期保険を選ばずに収入保障保険を選ぶことで解決する。
収入保障保険は毎月決められた金額の保険金が受取人に支払われるが、毎月の支払いがいつまで行われるかあらかじめ契約しておくので(例えば子供が22歳になる時点まで毎月保険金がおりるようにする)、『亡くなった人の給料の代わり』が必要な期間が加入後年々減っていくという事情にまさに合致する。このことにより、定期保険より収入保障保険のほうが合理的に保障を準備することができ保険料の節約になる。要するに死亡保険として定期保険はたいていの場合で合理的でないので、検討の必要がない、というか不要なのだ。
※定期保険に加入した場合、必要保障額に対して無駄が多いことのイメージ
※定期保険に加入するといつ亡くなっても、上図の赤と緑を合わせた分の保険金がでるが、必要保障額は緑の部分で、赤の部分が過剰になっている。収入保障保険であれば下図のように保険金はまさに緑の必要保障額に対応する部分の保険金しか出ないので、無駄が少ない。
※収入保障保険の保険金給付のイメージ(毎月20万円、子供が22歳になる時点まで給付という条件を想定)
3 – 4 死亡保険加入後、新しく子供が生まれたら必要な期間が変わるので見直しが必要
死亡保険の必要な期間が加入後年々減ることを考慮すると、加入後に子供が生まれたら必要な保障の期間が足りなくなってしまうことに注意が必要だ。
例えば、始めに死亡保険に加入したときは第1子が0歳のときで、その後5年が経過した時点で第2子が生まれたとしよう。
第1子が5歳になった時点で必要な保障期間はその時点で17年となっているが、第2子が生まれた時点で必要な保障期間は22年にまた戻るということだ。
よって死亡保険に加入後に子供が生まれたら、死亡保険を見直す必要がある。
3 – 5 死亡保険が必要な期間はどれくらいかエクセルチェック表に記入
いろいろ書いたが、死亡保険の契約としては基本的には『現在から一番年齢の低い子供が22歳になる時点までの年数』を保険期間と考えてよい。
今、末子の年齢が5歳であれば『17年』が死亡保険が必要な期間になる。その上で収入保障保険に加入すれば、最も合理的な形で死亡保険が必要な期間準備できることになる。
加入者がいつ亡くなっても、子供が22歳になるまで毎月『亡くなった人の給料の代わり』のように保険金がおりるのが収入保障保険だからだ。
子供がいる家庭は簡単だろう。『22-末子の年齢』を計算すればよい。
子供がいない家庭で死亡保険が必要な家庭はそれぞれの価値観と相談だ。
4 必要な死亡保険の保障金額
これまで収入保障保険が必要な期間を検討する際に、毎月の保険金額として『20万円』という数字を仮置きして考えてきた。
ここでもっと具体的に、死亡保険の加入者が亡くなった際、『亡くなった人の給料の代わり』として毎月いくらあればいいかを決める考え方を解説する。
金額を増やせば当然保険料も上がるので、ある程度合理的な選択が必要である。
4 – 1 最も簡単な死亡保険の保障金額の決め方
もうこの時点では『死亡保険=収入保障保険』として話を進めている。
つまり保障金額の単位は『毎月の金額』だ。
死亡保険が『亡くなった人の給料の代わり』として必要ならば、保障金額の最も簡単な決め方は加入者の月収の金額にしてしまうことだ。
例えば月収40万円ならば、保障金額も毎月40万円としてしまう。
こんな粗々な決め方でも収入保障保険を利用すればそこまで保険料は高くない。
35歳男性夫婦に0歳の子供ができて、死亡保険を選ぶとしよう。(つまり必要な保障期間は22年)
この場合某生命保険会社で月額40万円の収入保障保険を試算すると約6000円で加入できる。
とは言うものの40万円という数字はあまりにも過剰だ。
もし現状の生活費に40万円もかかるようでは、生命保険の見直し以前に家計支出の見直しが重要である。
4 – 2 死亡保険の保障金額を決めるためにまず毎月必要な金額を考える
以下の家計支出の表はインターネットで探してきたある家庭(夫婦と高校生の子供と中学生の子供がいる)を想定したものだ。
家計費内訳 | 金額例 | 家計費内訳 | 金額例 |
食費 | 4.5万円 | 交際費 | 0.6万円 |
住居費 | 7.5万円 | 日用品・雑費 | 0.6万円 |
水道光熱費 | 1.8万円 | 小遣い(夫婦計) | 3.0万円 |
通信費 | 1.8万円 | 教育費 | 3.6万円 |
保険料 | 1.8万円 | その他 | 0.9万円 |
趣味・娯楽費 | 0.6万円 | 貯蓄 | 2.4万円 |
被服費 | 0.9万円 | 支出合計 | 30.0万円 |
高校生と中学生というかなりお金のかかる時期の家庭を想定したものなので、多くの家庭は支出が30万円以内におさめられるとも言える。
もし1か月の生活費が40万円という想定で死亡保険の保障金額を考えればかなり余裕のある設定と言えるだろう。
もし40万円より多くの生活費がかかっているというのなら、そのようなお金持ちの人は保険料を余分に支払う余裕もあるはずだから、保障金額をその分増やせばよい。
実際には40万円もかかっていない家庭も多いと思うが、この記事では多くの場合を想定できない。40万円と仮置きしても保険料負担はそれほど多くない結果になるので心配しなくてもよい。
4 – 3 死亡保険の加入者が亡くなるとその分生活費は下がる
少し残酷な話だが、家族の中で大人一人が亡くなるとその分の生活費が浮く形になる。先の家計簿のような夫婦と子供2人のような家庭では、例えば夫が亡くなった場合を想定しても、食費、通信費、保険料、趣味・娯楽費、被服費、交際費、小遣いなど多くの支出項目の金額が減ることが簡単に想定できる。
一般に夫婦2人と子供2人のような家庭では、夫が亡くなった場合を想定すると、それまでの生活費の支出が7割になるといわれる。40万円の7割というと28万円が残された遺族の1か月に必要な生活費ということになる。残された妻と子供2人で28万円あれば十分生活していけると思えるだろう。
4 – 4 亡くなった死亡保険加入者の収入以外の収入(遺族年金・亡くなった人以外の給与収入など)を考える
先の家計簿の家庭で仮に夫が40万円の手取り収入を得ていたとしよう。夫が亡くなり必要な生活費は28万円になると想定できるが、この28万円をなんとかねん出しなければならない。
もちろんこの28万円という金額すべてを死亡保険で賄ってもよい。
35歳男性夫婦に0歳の子供ができて、毎月28万円の死亡保険を選ぶとしよう。(つまり必要な保障期間は22年)
この場合、某生命保険会社で月額28万円の収入保障保険を試算すると約4200円で加入できる。
これでも大分安くなったが、実はまだまだ無駄が多い。
もし、亡くなった夫の収入以外の収入がある場合は、必要な28万円の生活費をすべて生命保険で準備しなくてもよい。
具体的には以下のものがありふれたものとして想定できる。
- 妻の勤労収入
- 夫の公的年金制度からおりる遺族年金
夫が亡くなると妻の家事や育児負担が増え、今までのように働けなくなることは想定しなければならない。当然収入も落ちる可能性があることには注意が必要だ。
しかし、公的年金制度からおりる遺族年金の存在は頼りになる。
遺族年金がいくらもらえるかについては下記の記事を参照してほしい。
遺族年金の金額はかなり大きい。死亡保険を考える上で外せない知識なので必ず見てほしい。
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夫婦と幼い子供2人を想定した場合、遺族年金の金額はサラリーマン(月収40万円程度)の場合年額170万円、サラリーマンでない自営業などの場合は、年額120万円程度がもらえる。
仮に年額120万円としても1か月に換算すると10万円になる。遺族年金は子供の人数や子供の年齢によって金額が変化するが、遺族保障として考慮に入れるべきものだ。
公的年金制度が実は死亡保険も兼ねていると言える。
もし、仮に遺族年金で月あたり10万円がもらえると想定できるなら、必要な生活費の28万円のうち10万円が遺族年金でまかなえる。妻の収入が0円だったとしても残りの18万円を死亡保険で準備すればよいことになる。
再び試算してみた。
35歳男性夫婦に0歳の子供ができて、毎月18万円の死亡保険を選ぶとしよう。(つまり必要な保障期間は22年)
この場合、某生命保険会社で月額18万円の収入保障保険を試算すると約3000円で加入できる。
妻の収入次第ではもっと少ない保障金額でもよいかもしれない。
これまでの話を総合すると遺族の生活費を準備する際のイメージは以下のようになる。
※必要な死亡保険の金額の算出イメージ
※上図のように、加入者が亡くなる前の生活費そのまま死亡保険で準備するわけではなく、亡くなったことによる生活費の減少、遺族年金などの収入を考慮して死亡保険金額を決める。
上図を式で表すと必要な保険金額は以下のように算出できる。
(現在の生活費)×0.7-遺族年金額-その他収入(加入者以外の給与など)
このように算出すると、今の生活費が40万円かかっている人でも、実際に必要な死亡保険金額は毎月20万円にも満たない場合が多い。
4 – 5 もっと詳細な必要保障金額の算出の仕方はあるがそれほど役に立たない
ファイナンシャルプランナーはこのような粗々な必要保障額の算出ではなく、もっと詳細な算出方法をとったりする。
家計の情報やライフプランなど細かに顧客の情報を聴取し、キャッシュフロー表などを作成して、かなり細かく必要保障額を算出することができる。
このようなサービスをファイナンシャルプランナーが何万円もお金を取ってやっている場合もある。
確かに、ライフプランなどからキャッシュフロー表を作成するのは現状の家計の課題を見出す意味では非常に有用だ。
しかし、死亡保険の必要保障額を算出するのには向かない。
ライフプランなど所詮は予定でしかないし、5年・10年先のことなどそれほど詳細に決めたところで変動するのが当たり前だ。
ライフプランから5年後の必要保障額を算出したところ3000万円だったのが、実際その時になってみたら2700万円だったなんてことは十分起こりうる。
あまりにも未来が不確定な中、詳細を詰めることにそれほどの意味がない。詳細に詰めた結果、実際には保障が足りなかったでは困る。すでに解説してきたような簡易的な保障額の算出方法でそれなりの精度はある。現在の生活費を40万円と考えても死亡保険として必要な金額は20万円にも満たなかった。そのあたりの保障金額から多少保守的に保障を上積みするか、保険料を節約するために保障額を減らすかはもはや個々人の価値観の問題だ。
4 – 6 必要な死亡保険の金額はどれくらいかエクセルチェック表に記入
これで保障金額もおおむね算出できるだろう。
おさらいすれば、『(現在の生活費)×0.7-遺族年金額-その他収入(加入者以外の給与など)』で考えればよい。
遺族年金額が分からない人は以下の記事を参照すること。
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式に当てはめた金額が分かったらチェック表に記入する。
5 必要な死亡保険のおおよその目安を考える
これまでで必要な保障期間と金額を算出できた。この時点で漫然と考えなしに死亡保険に加入する人よりかなり保険料負担は抑えられるはずだ。
しかし、ここから話すことについて間違えたり、考えなしになるとこれまで考えてきたことによる節約効果が台無しになる。
あなたはどの生命保険会社が安い保険料で生命保険を売っているか見極められるようにならなくてはならない。
いよいよ、死亡保険の保険料をどのように比較すると保険料負担が抑えられるのかを解説する。
5 – 1 生命保険の保険料の仕組み
生命保険の保険料はどの保険会社でもほとんど同じである一方、各々の保険会社ごとに異なる保険料だ。
この矛盾した言い方が何を言っているのか理解できればあなたはどの保険会社が安い保険料なのか見極められるようになっているだろう。
生命保険会社は保険料を決める際に『純保険料』と『付加保険料』という2つの部分に分けて計算している。
『純保険料』とは保険金を支払うために必要な金額を保険会社が準備するための保険料だ。
支払われた純保険料は基本的に加入者に保険金として返ってくる部分だ。個々の加入者で見れば保険金をもらえる人ともらえない人がいるが、加入者全体で見れば支払われた純保険料は保険金として加入者に返ってくる。
付加保険料とは、保険金とは関係のない、保険会社の運営経費に回るお金だ。セールスたちの給料を支払ったり保険会社のシステム費だったり、保険会社を運営するためのありとあらゆる経費は付加保険料として加入者が払う。保険会社の運営経費に消えるのだから、付加保険料の部分は加入者に一銭も戻ってこない。
※『参考』純保険料と付加保険料の行先のイメージ
※純保険料はいったん保険会社の中に入るが、保険金として加入者(の誰か)に返ってくる。純保険料の部分は基本的には保険会社に残らず加入者側に戻ってくる。付加保険料はすべて保険会社の運営経費に消える。
つまりあなたが払った10の保険料のうち、10すべてが保険金として使われているわけではない。10のうちいくらかが保険会社の運営経費に消えているのだ。言い換えれば競馬などのギャンブルのように平均的には必ず負けるギャンブルに手を出していると言える。ゆえに生命保険は必要最低限にしなければならないことがわかるだろう。
5 – 2 純保険料はどの保険会社でもほとんど同じ
純保険料は保険金を払うためのお金である。純保険料の値段は基本的には誰が計算してもほぼ同じでなくてはならない。
例えば死亡保険であれば、純保険料は人の死亡率を用いて大部分が計算されるが、人の死亡率が保険会社ごとに違う数値を使っているなどあり得ないのだ。生命保険会社が純保険料を計算する際は、日本アクチュアリー会という機関が公表している『標準生命表』という死亡率表を参考に各保険会社が『標準生命表』から逸脱しない形で算出しなければならない。そうでなければ保険商品の認可が得られないからだ。
厳密には各保険会社のデータや戦略も考慮して純保険料が算出されるわけだが微々たる影響である。
ちなみに、あなたでもおおざっぱな純保険料を『標準生命表』から計算することができる。
興味がある人は下記記事を参照してほしい。
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5 – 3 各保険会社の保険料の違いは付加保険料
どの保険会社の商品でも同じ条件で比較すれば純保険料はほとんど同じになる。しかし、実際には同じ条件の生命保険でも保険会社によって、私たちが払う保険料の差が著しい。
この差の正体は付加保険料にある。
もう一度この図を思い出そう。
※『参考』純保険料と付加保険料の行先のイメージ
青い部分は純保険料、赤い部分は付加保険料だ。青い部分はいずれ加入者側に返ってくるが、赤い部分はどう逆立ちしても保険会社に吸収される。
とはいっても生命保険会社も保険制度を運営するために経費は必要なのだから付加保険料の存在は認めなければならない。
問題は付加保険料の程度である。
多数の保険会社が日本には存在しているが、保険会社によって付加保険料の金額にあまりにも差があるのだ。
今あなたは10年間の保障期間で100万円の死亡保険をA社・B社・C社のどこから入るか検討しているとしよう。
先に述べた通り、純保険料(青枠の部分)の大きさは条件が同じだからどこでも同じだ。
仮にこの純保険料の大きさを『10』とする。
さて、この状況であなたは下図のような付加保険料の状態だったらどこの保険会社の死亡保険に入るだろうか。
A社
B社
C社
この状況ならだれでもA社を選ぶであろう。
付加保険料はいくら払っても加入者側に返ってこないのだから当たり前だ。
もらえる保険金は加入者全体で30なのはどこでも同じだ。3人同じ純保険料『10』を払っているのだから当たり前だが。
しかし、付加保険料にものすごい差がある。もらえる保険金は同じなのに、付加保険料の差で3社の支払保険料の差は大きい。
A社は支払保険料が『14』、B社は『20』、C社は『30』だ。
これを見れば『馬鹿にしているのか?』と思われても仕方ない。
しかし現実には、C社のように高い生命保険会社で生命保険に加入する人が後を絶たない。
別にC社のような保険会社は暴利をむさぼっているわけではない。運営が非効率なだけだ。
5 – 4 付加保険料が高い会社と低い会社を見分けるにはどうすればいいのか
あなたが保険料を節約するためには、付加保険料の高い会社と安い会社を見分けなければならない。
しかし現実には『当社の付加保険料はこの通りです』などと公表している保険会社はほとんどない。
今どき投資信託ですら費用を逐一見られるというのになんという遅れた業界だろうか。
ところが、これまでの話を総合すれば、あなたは付加保険料の高い会社と低い会社を見分けることができる。
少なくとも『高い保険会社のグループ』『まあまあなグループ』『安い保険会社のグループ』くらいには分けられる。
そしてあなたは『安い保険会社のグループ』から生命保険を買えばよい。
『あなたが支払う保険料=純保険料+付加保険料』という話はすでに説明した。
そして『同じ条件の商品であれば純保険料はどの会社でも大きく変わらない』という話も説明した。
ということは最も単純な保険商品を同じ条件で比較すれば、『支払保険料の差=付加保険料の差』ということになる。
最も単純な保険商品とは『定期保険』と言われる死亡保険だ。
亡くなったときに保険金が支払われるという掛け捨ての単純な保険である。
やり方は以下の通りにする。
①、定期保険の試算を様々な条件(年齢・性別・保険金額・保険期間)でできる保険会社を1つ探す(通販系やネット系はたいていできる)。
②、たいていの保険会社はホームページに定期保険のパンフレットなどに契約例を載せているのでその契約例の保険料をメモする。(○○生命 定期保険)などと検索すればすぐに見つかる。定期保険の保険料試算ができる会社は①と同条件にして試算してみる。
③、②で見た契約例と同条件(年齢・性別・保険金額・保険期間)で①の試算にかけてみる。
④、②と④の保険料を比較し、高い方は付加保険料が高い会社。
定期保険にも解約返戻金がある・なしの条件があったりするので、解約返戻金の影響を避けるため、なるべく若く、保険期間が短い定期保険で比較するとよい。
このように比較すると、『どこが明らかに高くて、どこが明らかに安いのか』くらいには分類できるはずだ。
定期保険という死亡保険の比較で付加保険料の差をあぶりだしたわけだが、基本的に『付加保険料が高い会社はどの保険商品でも付加保険料が高い』傾向にある。
医療保険などは保障内容に差があり単純な比較は難しいが、定期保険の比較で見つけた『付加保険料の高い保険会社』は医療保険でも『付加保険料が高い保険会社』になる傾向がある。
よって定期保険で見つけた付加保険料の差のデータは、他の保険種類の商品を比べるときも大いに参考にできる。
もし『死亡保険は付加保険料が高いが医療保険は付加保険料が低い』という会社があったとしたら、そんな会社は医療保険を売るたびに損失を垂れ流すことになるだろう。
付加保険料は保険会社のビジネスモデルやコスト体質がよくあらわれる部分だ。付加保険料を安くしようと思って急に安くできるわけではない。
※付加保険料の高い会社はどの保険商品も付加保険料は高い傾向に
※付加保険料の高い保険会社はどの保険商品でも支払保険料に占める付加保険料の割合が高い傾向にある。
5 – 5 付加保険料の差を見つけて付加保険料に低い保険会社で死亡保険の試算をする
『5 – 4 付加保険料が高い会社と低い会社を見分けるにはどうすればいいのか』で解説した方法にそって、価格が安いと思われる保険会社をいくつか抽出しよう。
そもそも保険料試算どころか、ホームページに定期保険の契約例すら載せていない保険会社は自社の価格競争力に自信のない保険会社とみてよい。
次に、抽出した価格が安いと思われる保険会社で、今度はあなたが入る収入保障保険の条件を入力しよう。すでにあなたが入るべき収入保障保険の期間や金額はわかっているはずだ。
ただし収入保障保険は定期保険ほど単純な商品ではない。
『年齢・性別』、『保険期間』『保険金額』のほかに、『健康状態』を選んだり『年金保証支払期間』や『払込期間』が選べるようになっているので、比較する際はなるべくそのような条件もそろえるようにしよう。
また、保障の期間は1年刻みで設定できないことが多い。『60歳満了』『55歳満了』『20年』など保障期間の設定はあなたが希望する年数を超えるもので最も近いものを選ぼう。
例えば、あなたが37歳で保障期間19年の収入保障保険を希望しているとする。
その場合、最も望ましいのは『56歳』で保障が満了するのがよいが、難しいので『20年』または『60歳満了』あたりを選ぶことになるだろう。
そのように試算を行いいくつかの会社で試算を行ってみよう。
5 – 6 必要な死亡保険のおおよその予算目安と検討候補の保険会社をエクセルチェック表に記入
『5 – 5 付加保険料の差を見つけて付加保険料に低い保険会社で死亡保険の試算をする』でおおよその予算目安の検討はついただろう。同時に試算した保険会社名もわかっているはずだ。
その2項目についてエクセルチェック表に記入しよう。
保険料の目安は試算したいくつかの保険料から最も安かったものを書けばよい。
6 死亡保険のチェック表が完成したら次にすること
ここまででようやく死亡保険のチェック表が完成した。
次にあなたがやることは2パターンある。
6 – 1 死亡保険以外の他の保険種類についても選び方を知りエクセルチェックする場合
これまで死亡保険についてエクセルチェック表を埋めてきた。他の保険種類についても選び方を知りたい人は『毎月の保険料を2万円減らし金持ちになる生命保険の選び方』を読み、ほかの保険種類についてもエクセルチェック表を作成しよう。
死亡保険ほど大変ではない。死亡保険以外の保険種類は不要な理由がありすぎるので、あなたは詳細な保障金額や保障期間、保険料試算をする前に不要と判断するだろう。内容はハッキリと『○○保険は不要である理由』に偏っていることは否めないが、納得してもらえるように書いている。チェック表も『不要』とチェックして終了のものが多いだろう。
6 – 2 今回は死亡保険しか検討していない場合
この記事にたどり着いた人の中には、『死亡保険しか検討していない』という人も多いだろう。そのような人はエクセルチェック表を参考に実際に申し込む作業を進めていく必要がある。
しかし実際に死亡保険の加入申し込みをすると言っても、やり方を間違えるとこれまでの苦労がすべて水の泡となり、せっかく一生懸命勉強したのにも関わらず『無駄な高い死亡保険に入っていた』なんてことになりかねない。
より完璧な保険加入を実現するために、申し込み手続き進めたり、生命保険セールスを呼びつける前に必ず『生命保険についてきちんと学んだあなたが確実に最適な保険に申し込む方法』を読んでほしい。