生命保険が満期になったらどうする?

生命保険契約が満期になったら最初に何をすればいいのか。

普段は生命保険のことなど意識しないなか突然保険会社から通知が来ると驚くだろう。

ここで生命保険の満期について必要な知識を学んでいこう。

生命保険の満期とは何か

生命保険の満期とは、保険契約の終了を意味する。

例えば2019年9月1日に保険期間30年の保険に加入したなら、満期日は2049年9月1日となる。

そして、満期を迎えたらその時点で保障の効力がなくなる。

そして、保険種類によっては、満期時にお金が受け取れる。

これが満期保険金となる。

満期と更新の違いとは?

満期と近しい関係にあるのが保険の更新である。

保険には満期を迎えると、更新をできる保険と更新できない保険があるが、一般的に満期保険金がある保険の場合は更新不可であることが多い。

解約返戻金と満期保険金の違い

保険会社からお金を受け取れるパターンとして解約した際の解約返戻金がある

満期保険金は契約終了時にあらかじめ定められた条件にしたがって受け取れるお金だが、解約返戻金は満期を迎える前に保険契約を解約した場合に、解約返戻金として受け取れるものがあれば、受け取ることのできるお金だ。

解約返戻金の金額は保険種類といつ解約するかにより、受け取れる金額が変わる。

満期保険金を受け取れる保険の種類

満期保険金がある保険種類はたくさんある。

大きなお金を期待していいものから、あってもなくてもいいようなものまである。

養老保険

養老保険は保険期間内に、死亡・高度障害状態になった場合に保険金が支払われる。

一方で、何事もなく満期を迎えた場合は満期保険金が支払われる。

通常は死亡保険金額=満期保険金額となる。

亡くなっても、生存しても大きなお金を受け取れるので、『保険を掛け捨てにしない方法として有効な方法』などといわれるが、実態は、掛け捨ての死亡保険と貯蓄を組み合わせたに過ぎない。

特約として、保険料を上乗せで支払うと定期保険を上乗せして死亡保障を厚くしたり、医療保障を付けたりする場合がある。

積立保険

もはや保険と呼べるのかも微妙な商品だが、毎月保険料から一定金額を積立し、満期がある場合は、契約にたまっている積立金が払い戻される。

利率が有利な場合があるが、途中で解約すると解約控除をとられ元本割れするなどデメリットがある。

大手の生命保険会社が扱うことが多く、事実上ほかの保障性の保険契約とセットでないと加入できないことがほとんどだ。

生存給付金付定期保険

生存給付金付定期保険は保険期間中に死亡・高度障害状態になった場合に保険金が受け取れる。

一方で、何事もなかった場合は、一定期間ごとと満期の時点で保険金が受け取れる。

金額は保険会社によって様々だ。

例えば、2年ごとに生存給付金5万円、満期時に満期保険金60万円を受け取れるといった場合だ。

これも養老保険と同様に、掛け捨ての死亡保険と貯蓄を組み合わせただけのものに過ぎない。

また、これも特約として、保険料を上乗せで支払うと定期保険を上乗せして死亡保障を厚くしたり、医療保障を付けたりする場合がある。

年金保険

満期保険金の受取り方が特殊だが、タイプとしては積立保険に近い。

一定額を積立て続け、払込満了を迎えると、その時点から10年・15年などと年金形式で給付金がおりてくる。

年金受取開始時に一括受取りを選択することも可能だ。

年金保険は所定の用件を満たすと、通常の生命保険とは別枠で個人年金保険料控除という所得控除がある点はメリットとなる。

定期保険や医療保険の特約を付けられる点はほかの保険と変わらない。

学資保険

学資保険は、契約者を父母、被保険者を子どもとして加入する保険である。

子どもの入学時期や年齢に応じて祝金が給付され、満期時にも満期保険金が支払われるタイプの保険が多い。

事実上、子供にかける生存給付金保険とも言える。

要するにただの積立である。

また学資保険には育英資金を付加できる場合があるが、これは契約者となる親が亡くなった場合に、死亡保険金が年金形式で受け取れるというもので、事実上死亡保障であるので、親の保険で死亡保障をきちんと加入しているのなら、育英年金を付ける必要はまるでない。

契約している生命保険が満期を迎えた際にすること

満期保険金を受け取れる契約、あるいは保険期間の途中で生存給付金などの給付金がもらえる契約の場合、お金を受け取れる時期が来たらどうすればよいのか。

放置しておいても問題ないのだろうか。

結論から言えば、契約者側から何かアクションをしなくとも、保険会社から案内が届くし、満期の段階では放置しても問題ない。

満期1年前~半年前

保険会社から、契約がもうすぐ満期を迎える旨の連絡が来る。

時期は保険会社によってまちまちだ。

ここではお知らせだけで、なにか手続きが必要というわけはない。

満期直前

だいたい1~2か月前だろうか。

保険会社からハガキ、あるいは担当者が訪問してきて、満期保険金を受け取るか、据え置き金という扱いにするか確認される。

対応は以下のように分かれる。

満期保険金として受け取る場合

ハガキや請求書に受け取り口座を指定し保険会社に提出する。やることといえばその程度だ。

書類がない、書き方がわからないなどの場合は、保険会社に問い合わせよう。

据え置き金扱いにする場合

据え置き金とは、満期保険金として受け取らずに保険会社に預けておくという方法だ。

手続きをなにもしなかった場合も、自動的に据え置き金として扱われることになる。

保険会社に預けている場合は、所定の利息がつく。

といっても現在では、利息は雀の涙だ。利息がつかないのと同等レベルだと思ったほうが良い。

保険金請求権の時効について

法律上は、保険金請求権が発生した場合(満期保険金の場合は満期を迎えた段階)は3年以内に請求手続きをしないと、保険金請求権が時効により消滅することとなっている。

しかし、たいていの生命保険会社では請求しなくとも自動で据え置き金扱いになるか、保険会社所定の時効を過ぎても請求を受け付けてくれるのでそれほど心配しなくともよい。

しかし、絶対ではないので、利息が有利なわけでもないので早めに請求手続きをしたほうがよいのは確かだ。

据え置き金の据え置き期限について

満期保険金は受け取らずに据え置き金として保険会社預かりにしておけることはすでに書いた。

しかし保険会社も何年も据え置いたままにはしてくれない。

例えば日本生命の場合だと、据え置き期間は10年となっている。(出典:https://faq.nissay.co.jp/faq/show/48?back=front%2Fcategory%3Ashow&category_id=8&page=1&site_domain=default&sort=sort_access&sort_order=desc

満期保険金を受け取る際の税金の取り扱いについて

満期保険金を受け取る際は一時所得、雑所得として所得税の総合課税の対象となるか、源泉分離課税されるか、あるいは贈与税の対象となる。

満期保険金の契約関係による課税の違い

生命保険契約の満期や解約により保険金を受け取った場合には、保険料の負担者(たいていは保険契約者)、保険金受取人がだれであるかにより、所得税、贈与税のいずれかの課税の対象になります。

満期保険金等の課税関係の表

保険料契約者(保険料負担者) 保険金受取人 税金の種類
A A 所得税
A B 贈与税

源泉分離課税となる場合

一時払養老保険・一時払個人年金保険、一時払変額保険、一時払変額個人年金等で、保険期間等が5年以下で満期を迎えた場合の満期保険金は源泉分離課税が適用され、源泉徴収だけで課税関係が終了する。

また保険期間等が5年超でも、契約後5年以内に解約された場合の解約返戻金についても、同様に源泉分離課税が適用され、源泉徴収だけで課税関係が終了する。

この場合は、差益(満期保険金(解約返戻金)-一時払い保険料)に対して、一律20.315%(所得税15.315%、地方税5%)の税率で源泉徴収される。

所得税が課される場合

所得税が課されるのは、契約者と満期保険金受取人が同一の場合だが、受取方法により、一時所得か雑所得かが分かれる。

満期保険金を一括受取する場合は、以下の計算式により一時所得の対象となり、所得税と住民税の課税対象になる。

一時所得の課税金額=(満期保険金+配当金−払込保険料総額−特別控除50万円)×1/2

見ればわかるが、一時所得の場合は控除額がある上に、式の最後で2分の1される関係で、基本的には一時所得となるよう保険契約を組んだほうが支払う税金は少なくすむ場合が多い。

一時所得の対象となる場合は基本的に確定申告が必要となるので、その点は注意したい。

一方で満期保険金を年金受取する場合は雑所得となる。

課税金額は「1年間に受け取った年金額−その受領金額に対応する払込保険料」となり、要するに増えた部分に対して課税されるイメージだ。一時所得と異なり、控除もなければ2分の1もないので、一時所得となるよりは支払う税金が多くなる傾向にある。

年金受取を選択する場合は所得税が源泉徴収されるので、計算上、確定申告することで還付がありそうなときは確定申告をする必要がある。

贈与税が課される場合

贈与税が課税されるのは、保険料の負担者と保険金の受取人が異なる場合だ。

贈与税は基礎控除が110万円であるため、ほかに贈与されるものがない場合は、小額の満期保険金であれば贈与税の心配はないかもしれない。

しかし基礎控除110万円を差し引いても金額があまる場合は下記テーブルの金額により計算される。

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1000万円以下 40% 125万円
1500万円以下 45% 175万円
3000万円以下 50% 250万円
3000万円以上 55% 400万円

満期保険金の金額によっては所得税よりはるかに厳しい税率となる場合があるので、課税関係には注意したい。

満期まで保険を継続するか解約するか

満期保険金があるような保険の場合は貯蓄性の高い保険であることがほとんどであるので、保険料も保障内容の割りに高額であることが多い。必然的に保険料の支払いがきつくなる場合もあるだろう。

だからといって安易に見直しをしてはいけない。

保険料の支払いが難しい場合

家計が苦しくなった等の理由で保険料の支払いが難しい場合、保険の見直しをしてみてもよい。

だが、一律で解約するのではなく、『不要な特約だけ解約する』『保険金額を500万円から300万円に減額(一部分の解約)をする』など、できることは様々ある。

解約をすると、特に契約期間が短い場合は解約控除というものを引かれ、総払込保険料から一定額が差し引かれ解約返戻金が支払われる。

なるべくなら解約しないほうがよい。

一番よいのは、後述するとおり、貯蓄性保険に加入しないことだが。

予定利率が高い契約が現在より高い契約になっている場合

生命保険は契約者が支払った保険料がプールされ、これを保険会社は契約時に約束した利率で運用する。

これを予定利率という。

実際に運用される利率は予定利率とは異なるのだが、保険会社は一度決められた予定利率で保険契約に対して責任を負い続ける。

変額保険でもない限り、あるいは保険を見直ししない限りは契約時の予定利率はずっと続くため、現存する貯蓄性保険にはバブル期の予定利率が継続しているものがある。

その予定利率は5.75%にもなるものがある。

ちなみに現在の予定利率は0.25%などとかなり低いものになっている。

つまり、昔の貯蓄性保険は今では到底加入できない予定利率の契約であり、お宝保険などとも呼ばれるものだ。

こうした保険はいかに保険料支払が厳しくても、継続すべきである。

『生命保険の見直しをするときはお宝保険の存在に注意しなければならない!』 『警告!生命保険の転換は最もトラブルになりやすい見直し方法の一つだ!』

満期保険金があるような生命保険に加入するべきか

保険は基本的に掛け捨てが嫌われる傾向にあり、貯蓄性の保険が好まれることが多い。

しかし、生命保険は基本的に貯蓄性の保険などに加入しないほうがよい。

この記事でも少し触れたが、貯蓄性の保険は掛け捨ての保険料とは別に貯蓄用の保険料を合わせているだけに過ぎない。

効果としては銀行預金+掛け捨ての保険と効果にほとんど違いはない。

『利率が保険のほうが有利で~』などと思う人、教えられた人は以下の記事を参考にするとよい。

『本当に賢い人は貯蓄性の生命保険に入ったりしない』

貯蓄性保険など入りたくなくなるはずだ。

保険は必要最低限の掛け捨ての保障で十分で、必要ない人は保険会社の世話になどならなくてよいのだ。

そのことであなたの使えるお金は格段に増えることだろう。