生命保険の契約者貸付はいくらまで借りられるのか

お小遣いの金額に悩む既婚の男性諸氏にとって最終兵器となる選択肢、それが生命保険の契約者貸付だ。契約者貸付さえ利用できればあなたはゴルフを満喫し、趣味の道具を買い込み、たくさんの酒を飲むことができるかもしれない。もちろん男性に限らない、女性であっても同様の話だ。

生命保険の契約者貸付は知る人ぞ知る制度だ。

生命保険の契約者貸付とは何か

生命保険の契約者貸付は配偶者を騙してお金を搾取するためのシステムだ。と私は勝手に定義している。生命保険はたいていの人が契約した事実すら忘れてしまうほど契約期間が長い商品だ。終身保険などその典型だ。30歳のときに契約した終身保険について、80歳になった時に契約金額や支払い保険料まで正確に覚えている人はそれほど多くない。中には終身保険ではなくて掛け捨ての生命保険だと思っている人もいるかもしれない。契約期間が長いことで生命保険セールスのいいようにされやすい生命保険という商品だが、無知を利用するのはなにもセールスだけではない、契約者も同様である。

よくある例が、契約した終身保険が契約者貸付まみれになって、解約返戻金と同等まで借りられている場合がある。
もし配偶者に終身保険どうなった?などと聞かれても、『あれは掛け捨ての生命保険でもうすぐ終わる契約だよ?』などと言ってひっそり解約してしまう方法がある。ほとんど家族のお金をネコババしているに等しいが、悪い人は契約者貸付をこのように利用する。あとは企業経営者の利用が多いだろうか。

契約者貸付はいくらまで借りられるのか

そんあ悪魔的鬼手である契約者貸付だが、借りられる金額には限度がある。一般に終身保険や養老保険、個人年金保険など貯蓄性が高い契約は契約者貸付が利用できる。その限度額は解約返戻金相当額の9割程度までというのが相場だ。なぜ解約返戻金額と同等まで借りられないかというと、契約者貸付は契約の予定利率より高い貸付利率を取るので、解約返戻金限度額まで借りられてしまうと、貸付金額が契約の価値を上回り債務超過になる。つまりすぐに契約が消滅してしまう。

本来的な機能は生命保険が主体なので、生命保険の機能が直ちに失われないように、借りられる金額の限度はやや余裕を持たせてある。そして解約返戻金額相当額は貯蓄性保険においては概ねそれまで払い込んだ保険料総額よりやや少ない程度となる。

まとめると契約者貸付でいくら借りられるかは、それまで払い込んだ保険料総額の8割から9割といったところだろうか。すでに200万円ほど保険料を払い込んだなら160万円から180万円程度が契約者貸付の限度額となるだろう。

もし保険金が払われるときになったらどうなるのか。

終身保険や養老保険など、死亡保障も兼ねている貯蓄性保険の場合は被保険者が亡くなってしまった場合は保険金が支払われるのだが、その契約に契約者貸付があった場合は晴れて配偶者など遺族に契約者貸付があったことがバレるわけだ。まあこの点は契約者と被保険者が同一なら、亡くなった人と契約者貸付をしていた人は同一人物なのだから、『死んだあとのことは知ったことではない』とすることができる。そして、死亡保険金額から、契約者貸付の債務分が差し引かれて保険金受取人に保険金が支払われる。

例えば死亡保険金額1000万円の終身保険で契約者貸付の残債が200万円だった場合、被保険者が亡くなった場合、1000万円から200万円差し引かれて、800万円が保険金受取人に支払われる。

契約者貸付は便利だが家族間の信用にかかわるので利用しないに越したことはない

契約者貸付をすると家族にバレないことを気にする契約者は多い。たいていの生命保険セールス達はその点は配慮するのだが、まれに配慮不足のセールスが家族にしゃべってしまうことがある。そもそも契約者以外に契約情報をしゃべる時点でアウトだが。セールスの良い悪いは別として、家族にばれてしまうこともあるのは事実なので、契約者貸付を家族に内緒でする場合は最悪ばれるリスクもあると覚悟しよう。