少し賢い人は生命保険という金融商品に対して損得をものすごく考える。
掛け捨ての生命保険に入るほうが得か、掛け捨てじゃない生命保険に入るほうが得かなどと、細かい金額まで計算するのだ。
結論から言ってしまおう。生命保険に加入するのはいかなる場合でも損だ。費用だ。出費だ。
生命保険は必要悪
生命保険など不要であれば入らないほうがいいに決まっている。
生命保険事業を運営するのは異常なほど費用がかかる。
生命保険など100円の宝くじを買って、平均で返ってくると期待できる還元率が70%とか平気ででてくる商品だし、ヘタをすると20%程度の還元率になってしまう契約もある。
加入した瞬間に平均的に3割損するようにできている公営競馬以下のギャンブルだといえば伝わるだろうか。
遺族のための経済保障とか自分ではカバーできないリスクを保険会社に引き受けてもらうために『仕方なく』生命保険に加入するのだ。
私が生命保険業界に入った頃、上司に言われた言葉がある。『生命保険なんて必要悪だよ。こんなのないほうがいいに決まっているんだ。』
掛け捨てでも掛け捨てじゃなくても生命保険はみんな一緒
掛け捨ての生命保険と掛け捨てじゃない生命保険の違いは、保険金の支払われ方が違うだけで本質的にはどちらも損得などない。
掛け捨ての生命保険は当たればでかいが、たいていの人は外れる宝くじ、掛け捨てじゃない保険は多くの人が当選金をもらえるが、当たりは小さい。
ただそれだけだ。もらえる金額を期待値ベースで比較するとどちらも変わらない。
そしてどちらに加入しても、生命保険事業を運営するためのコストが保障の保険料とは別に取られるのだ。
結局どちらに加入してもこのコスト分、損をすることは明らかなのだ。
貯蓄性保険は他の金融商品に必ず負ける
貯蓄性保険を投資商品とみた場合、他の投資商品(銀行預金、株式、債券、投資信託、為替など)と比較すると、貯蓄性保険は生命保険会社の運営費に金がかかり過ぎでまず間違いなく他の投資商品にコスト負けする。
銀行預金はお金を預けても毎年何かしら通知が来ることなどないだろう。最近では多くの通知をネットで済ます銀行すらあるくらいだ。株式も同様である。しかし生命保険においては何かしら顧客に通知を送るときWEBで通知されるという会社はほとんどない。販売はネットでも契約上のお知らせは郵送で送るとかいう遅れたことをやっている業界である。
決定的なのが解約控除の存在だ。貯蓄性保険は契約後1年、2年の間は解約すると、支払った保険料に対して大きく元本割れする。あまりに短期の解約だと平気で5割元本割れしたりする。
銀行預金ではこのようなことはない。株式でも買った翌日に売却しても買ったときと同様の取引手数料がかかるだけだ。投資信託は一部保険商品以上にあくどい解約手数料をとるものがあるが、最近ではずいぶん良心的だ。
このように貯蓄性保険に加入することは多くの投資商品に対して不利な点が多い。貯蓄性保険に加入するくらいなら、その分のお金を国債でも買うなり、インデックスファンドでも買うなりしたほうがよほどコスト負けしない運用ができる。
生命保険の適切な買い方
結局のところ、生命保険は加入すれば多くのコストを取られ、貯蓄性保険であっても多くの投資商品にコスト負けする。つまり生命保険に加入する価値などほとんど限定されているのだ。貯蓄性の生命保険に加入するなら他の投資商品を検討したほうがよいので、まず貯蓄性保険の選択肢は消える。残るは掛け捨ての生命保険だが、『仕方なく必要な場合』のみ掛け捨ての生命保険に加入するだけでよい。このように考えれば一般の人が7000円以上の保険料を生命保険会社に払うことなどほとんどなくなるはずだ。
それにもかかわらず1世帯当たり平均3.2万円も保険料を支払っているのだから世の中の人がどれだけ無知で無駄なコストを払っているか分かるだろう。
あなたはもちろんこのような無知の仲間入りを果たしてはいけないし、無知のコミュニティから脱出するべきである。
幸いなことに生命保険が必要かどうかの判断はそれほど難しいものではない。もしあなたが必要最小限の生命保険だけに加入し、たった5000円だけ払えば十分という状態になりたいなら、下記記事を参照するとよい。