掛け捨てと言われる生命保険にも解約返戻金がでる場合がある

掛け捨ての生命保険は基本的に保障期間が終わる際にいわゆる満期保険金のようなものがないから『掛け捨て』と呼ばれることが多い。だが、掛け捨ての定義はひどく曖昧である。

完全に掛け捨てだと思って、戻ってくるお金の存在を知らずにいる人も多い。

もちろん、正真正銘の完全に掛け捨てな生命保険もある。

一般に掛け捨てと呼ばれる生命保険にもそうしたいくつかの種類があることを解説しよう。

完全な掛け捨ての生命保険

生命保険には満期保険金以外に加入者に戻ってくる場合があるお金が何種類かある。代表的なものは配当金と解約返戻金だ。

配当金は契約期間中に保険会社に多くの利益が出た場合に、利益の一部を加入者に還元する形で支払われるお金だ。解約返戻金とは違い、配当金をもらったら契約が消滅するということもない。
解約返戻金は保険契約を解約した場合に、加入者に返すべき金額があれば支払われるお金だ。解約するのでその時点で生命保険契約は消滅し、以後の保障はなくなる。

最近ではこのような配当金や解約返戻金がない生命保険を販売する会社が多い。特に保険料の安さを売りにするような会社に顕著だ。事前に配当金や解約返戻金がないことをうたっている生命保険は、配当金や解約返戻金がある生命保険に比べて保険料が低くなる。

解約返戻金がない掛け捨ての生命保険の返戻金イメージ

多くの生命保険会社はホームページなどで見れる生命保険商品を愛称でアピールしていることが多いが、正式名称を調べると『無配当無解約返戻金型収入保障保険』などと、無配当や解約返戻金がないタイプの生命保険はきちんと表示がある。これらの生命保険は特別な商品でない限り本当に解約しようがお金が戻ってくることはない。

基本的に掛け捨てだが解約返戻金があるタイプの生命保険

比較的大手の生命保険会社の死亡保険に多いが、掛け捨てと言われる満期保険金がないようなタイプの保険でも解約すると解約返戻金がもらえる商品がある。とは言ってもたいていの掛け捨ての生命保険は保障期間が10年、20年などと短いので解約返戻金があったとしてもごくわずかだ。それまで支払った保険料総額に比べると雀の涙もいいところだろう。正直なところ解約返戻金をもらうことを前提に加入するような生命保険でないことは確かだ。

ただし、一般的に保障期間が長い契約ほど、解約返戻金が戻ってくる割合が高まることは知識として知っておくとよい。

世の中には100歳まで死亡保障がある生命保険があり、100歳で満了を迎えると何ももらえないが、解約返戻金が多く返ってくる期間がある保険も存在している。一般向けな保険ではなく、法人が入るような保険ではある。

一般的な解約返戻金がある死亡保険の解約返戻金の推移

満期を迎えても何ももらえないような掛け捨ての生命保険でも解約返戻金が存在するタイプは、保障期間の間で解約した場合の解約返戻金額が『いつ解約したか』で変化する。知識としていつ一番解約返戻金が高いのかイメージしておくといいかもしれない。下記の図のように一般的には保障期間の3分の2あたりを迎えるころが最も解約返戻金が高くなり、その後0に向かっていく。

解約返戻金がある掛け捨ての生命保険の返戻金イメージ

 

掛け捨ての生命保険でも解約返戻金があるタイプと解約返戻金がないタイプどちらを選ぶといいの?

掛け捨ての生命保険は基本的に大きな保障を必要な期間の間準備するという、明確な目的意識がある。車を運転するから自動車保険に入るのと一緒だ。基本的に必要な期間が満了するまでは解約をしないのが前提となる。車を運転し続けるのに突然自動車保険を解約したりしないだろう。

よって、そもそも解約することを前提に掛け捨ての生命保険に入ることが想定しづらい。解約しないのだから解約返戻金がおりるタイプを選んでも意味がない。それならば少しでも支払い保険料を安くするため解約返戻金がないタイプを選ぶべきである。

そもそも掛け捨ての保険なのに解約返戻金があるような商品を販売する保険会社は概して保険料が割高な会社であることが多い。同じ保障金額なのに平気で安い保険会社の2倍・3倍の保険料を取る場合もある。

その点からも掛け捨ての生命保険を検討するなら解約返戻金がないタイプを検討するべきだ。