生命保険は複数の受取人を指定できる?

生命保険の死亡保険金などの受取人は申込のときに指定する必要がある。

ここで問題になるのは、受取人に指定したい人が一人ではなく複数の人を指定したい場合だ。

結論から言ってしまえば、生命保険の保険金等の受取人に複数の人を指定することは可能だ。
ここでは、どのような受取人の指定ができるのか、手続きの方法などを解説する。

生命保険の保険金受取人を複数の子供に分けることも可能

生命保険の受取人の指定には様々なパターンがある。

たいていは配偶者間だったり、親、子が一般的だ。

もしあなたが複数の子供を持つ親であれば、子供たちに均等に保険金を受け取らせたい場合もあるだろう。

その場合は受取人に子供の名前を複数指定してよい。

保険金等受取人

田中一郎 続柄 子
田中二郎 続柄 子

上記のように指定すればよい。

受取割合を指定できる場合もある。

たいていのばあいは、「田中花子 続柄 妻 受取割合 100%」などと指定されるが、子供など複数の受取人を指定したい場合は次のように書けばよい。

保険金受取人

田中一郎 続柄 子 受取割合 50%
田中二郎 続柄 子 受取割合 50%

あるいは、受取割合に差を持たせることもできる。

保険金受取人

田中一郎 続柄 子 受取割合 80%
田中二郎 続柄 子 受取割合 20%

あるいは次のようなものももちろん可能だ。

田中太郎 続柄 夫 受取割合 50%
田中一郎 続柄 子 受取割合 30%
田中二郎 続柄 子 受取割合 10%
田中三郎 続柄 子 受取割合 10%

法定相続人が複数いるからと言って受取人を複数指定する必要はない

基本的に保険金受取人の指定の仕方は契約者の自由だ。

あなたに配偶者と子供2人など、法定相続人が複数いたとしても、死亡保険金受取人は1人でも、2人でも、3人でもよい。
もちろん法定相続人でない人を指定してもよい(相続税上不利になるが)。

子供がいても次のように指定してよい。

保険金受取人

田中花子 続柄 妻 受取割合 100%

あるいは、配偶者がいても次のようにしてもよい。

保険金受取人

田中二郎 続柄 子 受取割合 100%

契約途中から保険金受取人、その人数、受取割合の変更手続きは可能?

申込時から事情が変わり、保険金受取人を変えたい人もいるだろう。『配偶者から子供に複数の受取人を指定したい。』などの様々な自由が考えられる。そんな人も何も心配しなくてよい。保険金受取人の変更は気軽にできる手続きのひとつだ。

契約者からの申し出と、被保険者(保険がかけられている人、死亡保険であれば、被保険者が亡くなると保険金がおりる)の同意があればよい。契約者と被保険者が同一であれば、被保険者は契約者本人なので同意うんぬんは考えなくてよい。

次に保険金受取人を変更したい旨、保険会社に申し出る。大事なことだが、本社のコールセンターなどに電話したほうがよい。セールスや近場の営業所などに連絡すると、無駄な営業を受けることになるだろう。保険会社のコールセンターなどに電話すれば、死亡保険金の変更程度の手続きならば請求書を郵送してくれるはずだ。請求書の書き方を念の為聞いておき、メモを取っておくとよい。記載例を送ってもらうよう、お願いしてもよい。

手続きの請求書が届いたら、希望の指定に変更する。契約者と被保険者が異なる場合は、被保険者の同意の署名、場合によっては認印の押印も忘れてはならない。住民票だとか、請求書以外の書類は不要なはずだ。ボールペンとせいぜい認印があればできるだろう。

生命保険の受取人を複数指定するのはよい考えなのか?

手続上は保険金受取人を複数指定するのは簡単だ。しかし、それが有利な方法なのかは状況によりけりだ。

特に相続税との関係、遺族の感情との関係は複雑な問題だ。遺族の感情面の問題を無視し、相続税との関係だけで言えば、法定相続順に沿うように指定するのが望ましい。配偶者がいれば、配偶者が100%受け取るようにしておくほうが税制上有利な場面が多い。配偶者がなく、子供だけというような場合は子供を均等に受取人にするなどだ。

若いうちは相続のことを深く考えてもあまり意味がないので、法定相続順に沿った指定がいいだろう。複数人を指定したり複雑なことを考えるのは、実際に相続の問題を考慮しなければならない時期になってからでよい。

まとめ

生命保険の受取人を複数人に変更することは可能だ。

手続きもコールセンターなどに電話すればそれほど面倒なこともない。手続きのための書類もボールペンと認印程度があればできる。被保険者の同意が必要な場合があるので、それだけは注意だ。