一般的な職業・収入なのに、1億5000万円も生命保険に入っている人がいたりするので驚くことがある。様々な事情からたくさん生命保険に入っている人がいるのは事実である。
そのような人から相談を受けることがある。
『生命保険って上限いくらまで入れるんですか?複数入れても上限ってあるんじゃないですか?』
まだ入るつもりなのか!という心の声を飲み込んで、そのような人のために解説しよう。
複数の生命保険にいくら入っても契約数に上限はない
まずは契約数の数だ。基本的に複数(2つだろうが3つだろうが20契約だろうが100契約だろうが)の生命保険に加入しても上限はない。後述する保険金額には上限があるが、数に上限はない。A保険会社で20契約、B保険会社で30契約、C保険会社で50契約入っていようと、保険金額の上限に抵触しなければ問題ない。契約数という意味では一人の契約者で20契約などというのは、保険会社のデータベース内にはしばしば見受けられる。
もう一度言う。
契約数に上限はない!
生命保険に加入できる金額には上限がある
問題は保険金額だ。
顧客側には明確に示さないが、保険会社の内規で「1被保険者あたり死亡保険金額○○円まで」と加入できる上限額が決まっている。もちろん入院給付金日額など医療保険にも加入の上限は決められている。
これは年齢、職業によって限度額が分かれている。若すぎる年齢(20歳未満など)やお年寄(60歳以上など)は加入上限額が低い。また、危険な職業(爆発物管理、登山家、プロボクサー、プロレスラー、とび職など高所作業員、その他いろいろ)の人も加入限度額が低く、中には加入できない職業も存在する。これらは保険会社の内規なので申込みをしてみないとわからない。
複数の保険に入る場合の上限額は?
先ほど見た通り、「1被保険者あたり」で加入限度額が定められているので、複数加入だろうと1契約だろうと、全ての契約を通算した金額で限度額が判断される。これは生命保険会社ごとに独自の規定がある。
仮に加入の上限が8000万円だったとしよう。その時、1契約で8000万円を超えたらもちろんアウトだが、2000万円、3000万円、2000万円、2000万円などと、複数加入しても、通算すると9000万円なので、どれかの契約を申し込んだ時点で上限を超えてしまうことになる。
先ほど見た通り、契約数に上限はないが、被保険者1名あたりに上限額がある。
保険会社を分けて複数加入すれば上限額は関係ない?
1保険会社だけで大きな金額の生命保険に加入すると上限にかかるというなら、保険会社を分けて加入すればどうだろう。例えばA保険会社に3000万円、B保険会社に5000万円、C保険会社に7000万円、といった具合に。もちろん、保険会社のデータベースには他の保険会社にいくら加入しているかという情報はない。
しかし、業界共通のデータベースとして、一人の契約者、被保険者がいくら加入しているかという情報を、保険会社は閲覧することが可能だ。生命保険や医療保険は申し込んだ際に、その契約情報は、契約内容登録制度・契約内容照会制度という制度により、業界共通のデータベースに登録される。ここを見れば、保険会社はあなたが加入している全部の保険会社を通算していくらの保険に入っているかがわかる。
よって、保険会社を分散させて加入しても、加入額の上限にひっかかってしまい、上限額以上の部分は保険会社から加入を断られる。
契約者としてなら上限がなく、たくさん加入してもよい
上限額の話は再度のの確認になるが「1被保険者あたりの上限」だ。契約者としてなら、そのような上限はない。
例えば、1被保険者あたりの限度額を8000万円として、次のようにたくさん加入することは可能だ。
契約者 田中太郎 被保険者 田中太郎 保険金額5000万円
契約者 田中太郎 被保険者 田中花子 保険金額3000万円
契約者 田中太郎 被保険者 田中一郎 保険金額2000万円
契約者 田中太郎 被保険者 田中二郎 保険金額2000万円
上の例のように、1被保険者あたりでは誰も、上限金額は超えていない。契約者としては田中太郎さんは合計で12000万円の保険に加入しているが、契約者としての上限はないので、このような加入の仕方は可能だ。
一般的には加入額の上限にかかるほど加入してはいけない
ここまで、生命保険の複数加入時の上限について解説してきた。
被保険者1名あたりの加入上限額があることが分かったと思う。しかし、一般的には加入上限額は危険な職業などでない限りは1億円や2億円の世界だ。少なくとも年収1500万円を超えるとか、会社の社長だったりしない限りは5000万円を超えるような死亡保険金額は過剰な保障だ。よって、上限を心配するような人はたいていの場合、加入しすぎということになる。
特殊な事情がない限りは、まずは保険の入りすぎを心配しなければならない。