万が一、保険加入者が亡くなってしまった場合、遺族は大変な苦労をしていることと思う。
その中で、生命保険金の請求は重要な手続きの一つだ。不幸が起こってしまったことは残念だが、生命保険唯一の存在意義を発揮できるときでもある。
この記事では、そんな生命保険金の請求手続きを詳しく解説していく。
生命保険金の請求時、初動でやること
保険金の請求、とくに身辺忙しいときに、何から手を付ければよいのか、遺族の人は大変心配だと思う。
金額も大きい。何といってもウン千万円という金額になることも多いからだ。
しかし、安心してほしい。
生命保険金の請求で、遺族が初動で行うことはたった1つだ。亡くなった人が加入していた保険会社に電話をして、下記のように言えばよい。
『生命保険金の請求をしたいがどうすればいいのか。』
電話するところは、対象の保険会社なら、部署などどこでもよい。コールセンターでもいいし、営業所・支社でもよい。本社でもよい。すると、請求受付の担当者に代わるので、担当者から質問されるので、それに答えていけばよい。きっと丁寧に対応してくれるはずだ。
保険会社は保険金の受付関連は非常に丁寧に扱う。なぜならそれが、保険会社の存在意義みたいなもので、顧客満足に直結し、ビジネスチャンスでもあるからだ。
請求の受付から、実際に保険金が支払われるまでの流れ
保険加入者(被保険者)が亡くなり、保険金を請求する旨を、保険会社に伝える。
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保険会社の担当者から、電話で、あるいは訪問されて、請求手続きのやり方、必要書類などを教えてもらう。
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必要書類の準備
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書類の保険会社への提出
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必要な場合、書類の追加手配
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保険会社による保険金支払いの審査
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保険金の支払い
順を追って詳しく見ていこう。
保険加入者(被保険者)が亡くなり、保険金を請求したい旨を保険会社に伝える。
初動で保険会社に、死亡の事実・保険金の請求手続きをしたいことを伝えるのは、保険金受取人でなくても構わない。
しかし、死亡保険金の場合、最終的に請求権があるのは、死亡保険金受取人のみだ。保険会社は受取人以外からの請求では基本的に受け付けてくれない。受取人が請求できない状況(例えば病気で意識不明など)の場合、指定代理請求特約が付加されていれば、指定された代理請求人から保険金の請求ができる。
書類上は、基本的に受取人が請求をするというものになっている。それ以外では、法律上あるいは個人情報やセキュリティ上の観点から受け付けてもらえない。
生命保険会社の担当者から請求方法や必要書類の案内
保険会社に保険金請求を申し出ると、基本的に契約の担当者が電話、ないし訪問し、手続きの詳細を案内する。
担当者が経験不足の場合があるので注意しよう。
そもそも死亡保険金の請求手続きとは頻繁にあるものではない。担当者の力量に不安を覚える場合はきちんと説明できる人に代わってもらったほうがよい。
『必要書類のご案内が一部もれていました・・・』
では、下手をすると2度手間になりうる。
必要書類の準備
これは受取人側が行うものだ。典型的な必要書類としては以下のものが考えられる。もちろん保険会社によって必要な書類は異なるので、きちんと聞こう。
・保険証券
ない場合は再発行の手続きを伴う場合がある。その場合かなり手続きが煩雑になるが、請求できないわけではないので安心してほしい。
・死亡診断書
加入者(被保険者)が死亡したことを医師によって証明してもらう。
担当医師の病院に請求しよう。
・受取人本人の本人確認書類
戸籍謄本や印鑑証明書を求められる保険会社もある。その場合は役所でとってくる必要がある。
・亡くなった加入者(被保険者)の住民票
除票とも言われる。亡くなったことを証明する書類となる。役所にてとってくる。
・保険金請求書
保険会社から渡される、請求フォーム。記載事項は保険会社ごとに若干異なる。担当者に書き方をきちんと聞こう。
書類の保険会社への提出
必要書類がそろったら保険会社の担当者に提出しよう。呼びつければよい。彼らはそれが仕事である。また、必要書類が足りているか確認する意味でも、きちんと担当者を呼びつけて確認してもらおう。
必要な場合、追加の書類提出
書類不備や、足りない場合、事例としては少ないが保険金支払審査の過程で必要になった場合、保険会社から追加で書類の提出を求められる場合がある。
速やかに準備しよう。
保険会社による保険金支払い審査
この審査をどのようにやっているかは一般に知れることはない。保険会社内部の人間でも知らない人がほとんどだ。専門の人員が死亡に不審な点がないか調査する場合もある。これは本当に何をしているのかわからない。
普通に病気死亡や事故による死亡の場合は、特別心配する必要はない。
保険金の支払い
審査の結果、支払いがOKとなると、保険金受取人の口座に保険金が振り込まれる。請求の初動から、支払いまで1週間から2週間くらいだろうか。
もちろん事例や書類を手配する速度によって異なる。
保険金受取後の注意
保険金を受け取った後、遺族は以下の2点に注意しなければならない。
特に保険金が3000万円とか5000万円とか高額な場合は・・・
保険金を浪費してはいけない
普段○千万円単位のお金が一度に口座に入ってくるなど、通常はない。
ここで金銭感覚を狂わせる人がまれにいる。来ている服が突然豪華になったり、仕事をしていたはずなのに、日中みかけるようになったり、豪邸が建ったりするのだ。
特に保険金が、本来生活費のために使われるべき場合は注意が必要だ。贅沢に使っていいお金ではないことを肝に銘じる必要がある。
最近では、年金形式で保険金を受け取れる商品も多い。過度に保険金に頼らない資金計画を立てよう。
保険金受取直後、保険会社や銀行の営業がやってくる
金銭感覚の問題が、自分の内側の問題ならば、こちらは外部の問題だ。
保険会社は自社が保険金を払ったのだから、受取人に多額のお金があることは知っている。また保険金を受け取った後は、保険が役に立った直後であるため、新しい保険に加入することの抵抗感が非常に低い。
このとき必要のない保険に加入させられないようにしたい。
また、銀行は口座に多額のお金が保険会社から振り込まれたことを知っている。当然、投資信託などの金融商品を勧めてくる。
生活費のために保険金を受け取った場合などは、リスクのある商品を買っている場合ではない。銀行からの勧誘を突っぱねる気持ちが必要だ。
このハイエナどもめ!!(つい本音が・・・)
まとめ
生命保険は実際に保険金を受け取るということはあまりない。
だが、万が一の場合は、まず保険会社に電話して、何をすればいいのか尋ねよう。手続きは指示された内容に沿って行えばよい。
最後に、受け取り後の商品の勧誘には気をつけよう。