始めに安心してほしい。
違法行為をしている保険情報サイトを閲覧しても、閲覧する側の消費者は違法行為ではない。
そして一方、無資格者の保険情報サイトの運営は相当気を使わないと違法行為になるかもしれない!
世の中には生命保険について説明しているサイトが数多くあるが、大半のサイトは素人が書いたような中身のないものばかりだ。どこでも書いてあるような平均的な話が書いてあり、それでもこのような質の低いサイトの内容を真に受けて生命保険に加入してしまう顧客がいるだろうから気の毒である。
まあ中身が薄いだけならまだいい。何も知らない素人が明らかに違法行為な記載をしているのも目につくのだから救いがない。
あなたはこのような明らかに違法行為をしている生命保険情報サイトの情報を鵜呑みにしてはいけない。
生命保険を具体的に説明するには生命保険募集人資格が必要
生命保険を販売するための資格として『生命保険募集人』という資格が必要だ。
この資格は建前上は『生命保険を販売するにふさわしい知識を持つ』ということを担保するために、生命保険を売るもの全てに取得を義務づけている。端的に言えば『生命保険募集人』資格を持たない人間は生命保険を販売してはいけない。このことは保険業法という法律で定められ、無資格で販売することは懲役や罰金刑なども規定されている明確な違法行為だ。
『無資格での販売がダメでも説明だけならいいのでは?』と思われるかもしれないが、実は保険業法は『販売』という言葉でなく『募集』という言葉を使用している。この生命保険の『募集行為』に該当するのが意外に広い。無資格者が『募集行為』に該当することをすると違法行為というわけだ。
募集行為に含まれるもの
金融庁による『保険会社向けの総合的な監督指針』の中で、生命保険の『募集行為』に含まれるものとして代表的なものが整理されている。保険契約の締結の代理または媒介、保険契約の申し込みの受領、保険契約の締結を目的とした保険商品の内容説明、といったものが含まれる。細かいところで言えば保険料を領収することも募集行為と解釈される。
さて、この『保険契約の締結の代理または媒介』に該当するかどうかで、保険比較サイトや保険の説明をしたサイトが違法か違法でないかの判断の分かれ目となりうる。もっともサイトの運営主体が『生命保険募集人』であったり『生命保険募集人』を抱える保険代理店や保険会社であればなんの問題もないのだが、実際は明らかに素人が違法行為とも知らずにそうしたサイトを運営していることがある。
さて、同じく『保険会社向けの総合的な監督指針』の中で、『保険契約の締結の代理または媒介』に該当するかどうかは、以下の2つの事情を鑑み総合的に判断される、とのこと。
ア. 保険会社又は保険募集人などからの報酬を受け取る場合や、保険会社又は保険募集人と資本関係等を有する場合など、保険会社又は保険募集人が行う募集行為と一体性・連続性を推測させる事情があること。
イ. 具体的な保険商品の推奨・説明を行うものであること。
ここで、素人が行う保険比較情報などで違法行為と判断されうるのが特に『イ』のほうである。
『具体的な保険商品の推奨・説明』とは例えば具体的な保険会社名の特定の保険商品の名前を出して、『こちらの○○保険の方が保険料が安い』などと他社の商品と比較したり、『この保険はこのような保険だ』とか保険商品の説明をしている場合が考えられる。
具体的な保険会社名や保険商品の名前を出した時点で、募集行為と判断されるかもしれない。無資格者が運営する生命保険情報サイトや比較サイトが具体的な保険会社名や保険商品名の説明などを行うと、無資格募集として違法行為とされる危険があるということだ。
だいたい、有資格者でさえ『具体的な生命保険会社や生命保険商品を出しての比較・説明』には気を使う。具体的な比較を行う時点で双方のメリット・デメリットがきちんと顧客に伝わるように気を使う必要がある。
WEBサイトなどという証拠が残るようなものにそのような比較説明をすること自体かなりのリスクがある。まして無資格者が能天気に具体的な保険会社や商品名を出して比較・説明をしているのを見ると神経を疑う。
有名どころの生命保険比較サイトは当然運営主体が生命保険代理店だったり、『生命保険募集人資格』を持つ物が運営しているので問題ないものと思うが、素人が広告料目当てに具体的な商品名などを出しているサイトもかなりある。このような違法行為と判断されるかもしれないような運営のサイトの情報に触れることもあると注意してほしい。
なぜこのように法的に規制されているのか
生命保険は仮にも金融商品できちんとした知識と経験を持った『生命保険募集人』によって販売されることが必要だ。そうでないと生命保険に加入する人が正確に判断できなくなるとか、要するに消費者保護のために規制がなされている。まあ、実際には有資格者も大半が生命保険を募集するにはあまりにも知識・経験ともに不適格すぎるのが実情なのが悲しいところだが・・・
有資格者の資質はさておき、無資格者による販売が厳しく制限され具体的な商品説明すら制限されるという徹底ぶりだ。主婦などがファイナンシャルプランナー資格をとり、その知識を活用して生命保険の説明などをしている例も見かけるが、生命保険募集人資格がなければ『○○生命の▽▽保険はいい商品だからおすすめです』などとやると違法行為とみなされるリスクがあるだろう。
生命保険比較情報サイトを利用する場合はきちんと有資格者が運営しているものと分かるところから
素人が運営するサイトはそもそも情報が浅く本質をとらえていないことが多い。それでも消費者としては何もわからない状態から入ればそのような質の低い情報でも信じてしまい、とんでもない保険に入ってしまうこともあるだろう。そのため、最低限そのサイトがきちんと生命保険代理店や有資格者による運営なのか確認くらいはしたほうがよい。