生命保険に加入するときは被保険者の同意をとらなきゃいけないよ?

生命保険を契約するとき何気なく考えている『被保険者』(あ・・そもそも被保険者とは何かは『生命保険の『被保険者』とは何か』を参照してほしい)。

実は生命保険に加入するときは『保険契約者は被保険者の同意を取らなければならない』ということを知っているだろうか。

『俺・・生命保険を契約するんだけど、俺の中の「俺」に聞くよ?生命保険に入ってもいい?』と、契約者と被保険者が同じ人である場合には『俺の中の「俺」』に同意を取ればいいだけだから問題ない。問題は契約者と被保険者が別人の場合だ。

なぜ問題になるのかって?

知らないうちに保険金○人されたら嫌だろ?残念なことにテレビニュースで話題になる程度には保険金○人は定期的に発生しているのだ。

生命保険は『被保険者が亡くなったり入院・手術したりすることで保険金・給付金が支払われる』のだ。被保険者がきっかけで保険金・給付金が出るのだ。もし被保険者の同意がないまま生命保険を契約できるとしたら、『AさんがBさんを被保険者としてBさんの知らないうちに生命保険を契約し、Bさんを亡き者にしてしまえばAさんに保険金が・・・』ということになってしまう。

しかし被保険者の同意が必要ならば、Aさん『Bさんを被保険者にして生命保険を加入するね?』Bさん『嫌だよ、なんであかの他人のお前の生命保険契約の被保険者にならなきゃいけないんだ?○されたらいやだし』

こうして赤の他人を勝手に被保険者にして生命保険契約をするのは難しいのだ。まあ同意があったとしてもあかの他人を被保険者にした契約は生命保険会社で除外するだろうが・・・

被保険者の同意をとらずに生命保険に加入し夫婦ケンカになった例も

夫が妻を被保険者にして生命保険に加入する場合は割と多く見る。後述するようにあまりお勧めできない加入の仕方だが。

一方妻が夫を被保険者にして生命保険に加入する例はほとんどみない。ほとんどみないだけでないことはない。

そんな少ない例で夫婦ケンカになったことがある。

まさに夫の知らないところで妻が勝手に生命保険に加入していたのだ。

私が生命保険セールスをしていた頃に、私のところに『加入している生命保険の整理をしたい。どれを残せばよくてどれを無くせばいいか相談したい』との相談がきた。

私としては『見直し案件!』と小踊りしながらその夫婦のところに向かった。

夫婦宅に着いた私は、すでに用意された大量の保険証券やら契約明細やらを目に、加入している契約は何件でどのような保障なのか整理しそして夫婦に伝えた。その中で私が放った一言がきっかけになった。

『この保険はご主人が亡くなった際に奥さんに保険金が払われる死亡保険ですね。ところでこれは奥さんが契約者になってますがどうしてですか?』

私としては『契約者と被保険者が異なる場合は保険金受取をする際、相続税の計算上あまり有利ではない』という文脈でその質問を投げたつもりだった。

そこで夫が突然声を荒げた。

夫『なんだその保険は!?俺はそんなの入った記憶ないぞ!』

妻『いや・・・以前保険セールスやってる友達が成績がきついからって入って上げた契約なんだけど』

夫『俺に保険がかかってるんだろ?勝手にやりやがって!保険金○人でもするつもりか!?』

いや・・・まて、そのりくつはおかしい。

おかしいが、どうやら被保険者の同意がない契約だったのは事実だったようだ。俺様気質の夫の攻撃により、夫婦ケンカに発展し商談どころではなくなってしまった。あの俺様気質の夫の元では妻が恨みを持っても不思議ではないから、案外割とマジな契約だったのかもしれない・・・

嘘みたいな話だが、夫婦はその商談から7カ月後には離婚してしまった。子供がいなかったのが幸いだ。

だまって他人を被保険者にするのはよくないよ?必ず同意をとってね?

契約者と被保険者が別人の契約はそもそもおすすめできない

生命保険の契約者と被保険者が異なる場合は被保険者の同意が必要だが、そもそも契約者と被保険者が同一であればそのような問題は生じないのだ。

私もたいていの生命保険セールスも『契約者と被保険者は同じになるように』アドバイスする。

これは特に死亡保険金を受け取る事態になったときの相続税の問題がある。

契約者と被保険者が同一であれば、死亡保険金受取人に課される税金の種類は『相続税』となる。一方別人であると、『一時所得』あるいは『贈与税』扱いとなる。一般的な財産状況の人であれば通常は『一時所得』や『贈与税』扱いになるより、『相続税』扱いの方が支払うことになる税金が低くなり有利になる。よって、よほど金持ちでない限り『契約者と被保険者は同一人物』であることが有利だ。相続財産がたくさんある人はこの限りではないが・・・

まとめると、生命保険の契約者と被保険者が別人であると、契約時に被保険者の同意をとらなきゃいけなかったり、税制上不利になったりする。特殊な事情がないかぎり(被保険者に黙って加入するのはダメ!)、契約者と被保険者を同一にする方がよい。

生命保険セールス達へ警告!被保険者の同意がない申込みを募集したら事故案件だからな!

顧客側に罰則があるわけではないが、生命保険セールスが『被保険者の同意がない生命保険契約』を募集したら不適切行為である。コンプライアンス的に生命保険セールスは生命保険の募集時に『被保険者と面接する』ことが求められているはずだ。被保険者に対して目的を言わずに面接するのは無理だろう。つまり『被保険者の同意がない生命保険契約』は『無面接募集』と判断されうる。

ダメ!絶対!無面接募集!

あ・・・顧客側はお縄にはならないが、無面接募集の契約は保険会社から無効扱いにされる可能性があるから、やはり被保険者の同意がない契約はダメだし、被保険者をセールスにきちんと会わせるように。まともなセールスならそのあたりもきちんと説明してくれるはずだが、まともじゃないセールスもたくさんいるのだ。