生命保険の営業職員チャネル衰退に備えて各社が販売チャネルを多様化

昔は生命保険と言えば、営業職員と呼ばれるセールスから加入するしかなかった。

それが、代理店チャネルを皮切りに、インターネット直販、郵送手続き、電話勧誘など販売チャネルは多様化する一方だ。

生命保険会社のこうした販売チャネルの多様化の動機を知れば、生命保険を選ぶ顧客にも役に立つ話となる。

販売チャネルが多様化したおかげで、同じ生命保険会社の系列で、同じ内容で割高な保険と割安な保険が混在するようになったし、保険ショップで多くの保険会社の似た商品を比較しながら加入できるようにもなった。

一方で、営業職員チャネルはオワコン・衰退の道にあり、今営業職員チャネルで生命保険に加入する人ははっきり言って、考えることを放棄していると言われても仕方がないレベルだ。

生命保険はしばらく代理店チャネルが優勢だ

大型ショッピングセンター(イオンなど)を歩くと必ずと言ってよいほど、保険ショップと言われる、生命保険代理店がある。

最近では、駅中やホームセンターなど、人が集まるところにはどこにでもあるような雰囲気だ。

この保険ショップという業態はこの10年くらいで成長した代理店で、それまではアフラックなど外資系生保くらいしか代理店らしい代理店は無く、生命保険業界内でのシェアはほとんどなかった。

銀行でも保険販売を拡大しようとする動きはあったが、預金代替の貯蓄性保険くらいしか上手く扱えていなかった。

それが、この数年で保険ショップが勢力を伸ばし、大手生命保険会社が保険ショップを買収する動きも盛んとなっている。

なぜか。

もはや営業職員が顧客の自宅を訪問し、あるいは職場でセールスをするというのは時代遅れになっているのだ。

どの会社もセキュリティや情報管理の都合上、部外者が入れなくなり、生命保険セールスも例外ではない。

自宅に訪問しようとも、在宅なのは高齢者ばかりだ。

保障が最も必要とされる30代、40代の顧客に営業職員はアクセスできなくなってしまったのだ。

最も利益率の高いこれら保障を必要とする層にアクセスできないのは保険会社にとっては死活問題である。

ゆえに、比較的若い人が集まるような場所に販売代理店を置くというのが流行っているのだ。

営業職員チャネルでの契約の質が低い上、コストがかかり過ぎる

営業職員はまともに生命保険をコンサルできる人間がいない。

ノルマが厳しすぎ2年で8割・9割のセールスが辞めてしまうのであれば当然だ。

そして新規開拓できるようなスキルを持ったセールスも少ない。

たいていが、親戚・知人・友人を頼ったセールスになる。

生命保険の知識がない人間が親戚・知人・友人に生命保険を売って、1年・2年で辞めるとどうなるか、人間の縁故で持っていた契約は、そのセールスが辞めたとたん解約のリスクが跳ね上がるだろう。

そうした解約リスクの高い契約は生命保険会社にとって重荷でしかない。

同時に、人を採用し教育するのにもコストがかかる。短期間で辞める人間が、契約を取ればその分の人件費も必要だ。

質の悪い契約ばかり販売し、短期間で人が入れ替わることで、生命保険会社のコストは膨大なものとなっている。

このように、生命保険会社としては営業職員チャネルは利益は出ているが、顧客がどんどん他のチャネルを選び始めているので、営業職員チャネルでの利益をどんどん縮小させているのだ。

生命保険会社は営業職員チャネルが利益を上げているうちに他のチャネルを育てようとしている

それでも、多くの生命保険会社にとって、営業職員チャネルはまだまだ売り上げの大部分を占めているし利益も上げているのだ。

営業職員チャネルがまだ息をしているうちに、他のチャネルを育てるのが、大手を中心とした生命保険会社の基本的な経営戦略だ。

そのため、最近では大手の生命保険会社が、直接、あるいは子会社などを通じて様々なチャネルに手を出している。

保険ショップに商品を提供したり、電話番号リストを元に、コールセンターからローラー作戦で片っ端から電話をかけて商品の案内をしたり、インターネット専用の商品を販売したりしている。

経営として大成功しているレベルには至っていないようだが、顧客としては加入経路が確実に広がって喜ばしいことである。

営業職員チャネルで高い保険を売っている裏で、インターネット販売で安い商品を提供する生命保険会社

しかし、こうした動きで自己矛盾を抱えている生命保険会社が多数あるから驚きだ。

一般に、同じ定期保険(亡くなった時に保険金がおりる死亡保険)100万円の契約があれば、営業職員チャネルで販売される商品は保険料が高く、インターネットで販売される商品は安い。

大手生命保険会社の中には、子会社でインターネット販売専門の生命保険会社を作ったりしている。

そのインターネット専業子会社で売られる保険商品は確かに安い。

業界最安値水準も目指せるレベルで安い。

辛口な私も、このような大手生命保険会社のインターネット専業子会社の生命保険は一般的におすすめできるレベルと考えている。

しかし、あくまで子会社で違う会社とはいえども、同じグループの会社なのだ。

親会社は営業職員チャネルで割高な保険を売り、子会社では割安で売っているのだ。

もちろん、親会社の営業職員たちは、『当グループではインターネット専業の子会社を持っておりまして、そちらで加入したほうが割安です』などとは言わない。

営業職員には1銭にもならないからだ。

だが、生命保険会社が自ら宣伝するように『当社の営業職員は専門知識を持ったプロです』と言うならば、『当社のグループにはこんな安い保険もあります』と言ってしかるべきではないか。

要するに、生命保険会社は平気で顧客を裏切っているのだ。

まあ、実際に生命保険会社が正直に『当グループのインターネット生命保険を利用すれば、かなり保険料を抑えられます』などとやり始めたら、営業職員はおろか、内勤エリート達も大量にリストラしなければならなくなるだろう。

生命保険を検討する人がすべきこと

このように、生命保険会社が自己矛盾をかかえるほど販売チャネルが多様化したのだから、消費者としては多様な選択肢から適切なものを選ぶ力が求められる。

適切なものを選べば、同じ保障内容であっても、保険料を大きく抑えることができたりする。

これは、すでに生命保険に加入済みの人も同様だ。

もはや、営業職員チャネルでの生命保険の加入はデメリットばかりで、生命保険会社側から見てもお荷物になりつつある。

一方で、保険ショップなど代理店チャネルが伸びているということは、消費者がそちらにメリットがあり選んでいるということだ。

実際に、保険ショップに相談に行くと、『それまでより保険料が1万円節約できた』などという声はザラにある。

あなたも、生命保険セールスから加入した・加入しようとしているならば、下記記事を参考に一度保険ショップに行くことをおすすめする。

もはや生命保険セールスから加入するのははっきりと時代遅れなのだ。

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