『生命保険が月々たった○○○円』
あなたもこの種の広告をテレビ等で目にしたことはあるだろう。
生命保険が3ケタの保険料で加入できるというのは、なかなかセンセーショナルな広告である(その保険が必要かどうかはおいておいて)。
このような広告を見ると、生命保険の負担はかなり抑えられそうな気がしてくるだろう。
3ケタでは無理でも、1000円・2000円程度の負担でなら実現できそうな気がするではないか。
結論を言えば、『1000円で生命保険に加入するというのはさすがにきつい。そして無駄が多い』ということになる。
生命保険は安ければ安いほどよいわけではない!必要かつ十分でなければならない!
『生命保険は必要な分だけ、最小限で加入しなさい!』と当サイトでは繰り返し説いている。
しかし、それは『可能な限り安くすればよい』という意味ではない。
もちろん、1円あたりの保険金にかかる保険料が最も安い生命保険に入るべき(つまり価格競争力の優れた生命保険)に加入するべきなのは言うまでもない。
だが、家族の生活費を賄わなければならない人にとっては、3,000円の保険料くらい払わなければ十分な生命保険に加入できないかもしれないし、独身の人であれば生命保険など全く不要(つまり0円)だという人もいるだろう。
『数百円で加入できる』からと言って、必要でないのに加入したり、もっと必要なのに足りなかったりするのでは本末転倒だ。
個々人の事情・状況・価値観に合わせた保険加入が必要だ。
それは決して保険料の値段から考え始めることではない。予算のことなど一番最後に考えるべきことだ。
『月数百円の保険料で~』の広告の罠!
保険会社に・・・というか証券会社にもこのような広告は多いが、やたら見た目の安さだけ強調した広告をだすことがある。
『月数百円の保険料で~』『ワンコイン(500円)から始める投資生活』などといった類のものだ。
ワンコインから始める投資など投資にならないことくらい少し考えればわかるだろう。仮に月500円だったら、10年経っても6万円しか貯まっていないではないか。その程度で複利運用しても絶対額が低すぎるため、生活を助ける足しにすらならない。
要するに、このような広告は証券会社が投資の素人を集めるための『質の悪い釣り針』でしかない。
保険会社の『月○○○円で生命保険に~』という広告も同様だ。
保険会社のものはさらに性質が悪いと言える。すごく小さい文字で『契約条件30歳女性、保険期間10年、保険金額500万円の場合』などと書いてある。
生命保険の保険料は、契約年齢・性別・保険期間・保険金額で決まるのだが、これだけ変数があれば、数百円の生命保険がいかに限定された状況であるかわかるだろう。
広告に載っているのはあくまで『かなり安い条件に設定した生命保険』でしかない。
これがもし、60歳男性だったら、数百円で入れる生命保険など、保険金額が50万円くらいになってしまうかもしれない(そんなもの売っているかどうかは別として)。
このように、保険会社は見た目だけ安い生命保険で広告を出すのが得意だ。これも要するに釣りなのである。
あなたは、『毎日使うお米がたった100円です』と書かれていたら飛びつくだろうか。それが内容量200グラムだとしても?(お米は2000円も出せば5キログラムの物が十分買えることを考えれば、内容量200グラムで100円では割高なお米と言える。)
月1000円の負担で生命保険に入るのは可能だが無駄が多い
さて、保険会社が釣り広告をしていることは分かっただろう。
だが、数百円は大げさにしても、月1000円出せばそこそこの生命保険に加入できるような気がするかもしれない。
しかし、実際には月1000円でも生命保険を必要とする人にとっては、十分な保障にはならず、無駄が多いものになるだろう。
生命保険を必要とする人にとっては少なくとも月2000円程度は負担しなくては十分な保障内容とならない。そのあたりは後述する。
『まあ多少保障内容は足りていなくても、とりあえず少し入っておくのもいいのではないか。足りてないかもしれないが、それさえ了解していれば、保険料が無駄になっていることはないのだから』
このように考える人もいるだろう。
本来2000万円の保障が適正だと考えられる人が、1000万円の生命保険に入ったとしたら、確かに保障内容は不足だが、過剰なものはないのだから保険料は無駄になっていないと言える。
しかし、世の中はそこまで単純ではない。
生命保険は数字と紙・データしか扱っていない商売のくせにやたらと運営コストがかかっている産業だ。
生命保険料は以下の算式で表される。
純保険料(保険金を支払うために必要な部分) + 付加保険料(保険業の運営コスト)
あなたが払う保険料は保険会社の運営コストに消える部分が必ず含まれている。
そして、そのコストは一般の産業と同様に固定費部分と変動費部分に分かれる。
もし、仮に1つの契約あたりに200円の固定費がかかっているとしたら、1000円の生命保険に加入したら、固定費だけで20%となってしまう。2000円の生命保険に加入すれば固定費率は10%となるだろう。
小さい契約に加入するとこうした固定費部分により多くの保険料が割かれる結果となり無駄が多くなるのだ。
よって、生命保険はあまり小分けにして加入しない方がよい。
『複数の生命保険に加入するとデメリットばかりで笑える』必要な分だけを1つの契約で済ませてしまう方が効率がよいのだ。
20代なら月2000円の負担でかなり十分な生命保険に入れる
月1000円の生命保険では十分な保障の保険に入れない上に、小さい契約はコスト部分が大きいことを示した。
しかし、月2000円払えば、年齢性別によっては十分な保障となる可能性もある。
要するにギリギリまで必要最小限を突き詰めると月2000円前後が目安だということだ。
私は生命保険の必要性について、以下のような判断をしているし、当サイトの色々なところで同じことを書いている。
死亡保険 → 必要な人にとっては必須
就業不能保険 → たいていの人にとって必要
医療保険 → 不要
がん保険 → 不要(論理的にはほぼ不要。あとは感情面)
終身保険 → 不要
年金保険 → 月6666円までの掛金であれば有用だが、それ以上は不要
まあ、年金保険は貯蓄なのでここでは省く。
すると、死亡保険とせいぜい就業不能保険が選択肢に残っていることがわかる。
もし、『まずは万が一の際の家族の生活費だけ確保しておけばよいだろう』と割り切れば、20代であれば月2000円程度の負担で実現できるのだ。
どこか通販・ネット系の生命保険会社で、『収入保障保険・保険期間55歳まで・年金額10万円』程度の保障を探してみればよい。
20代なら3000円を超えることはないだろう。
収入保障保険ってなんだ?という人は以下の記事が参考になる。
『もう迷わないおすすめの死亡保険の選び方』30代の人でも月3000円、40代でも月4000円だせばかなり十分な生命保険に入れる
20代の場合と同様に、30代・40代でも家族への生活保障として生命保険に入るなら収入保障保険を活用することを考える。
あなたの一番下の子供の年齢が22歳になるまでの年数は何年か。
その年数をカバーするように保険期間を設定しよう。
そして、年金額は15万円程度を設定してみよう。
おそらく3000円から4000円程度に収まってくるだろう。少なくとも7000円とか8000円とかいうレベルにはならないはずだ。
思ったより安くならない人は、設定の仕方が間違っていると思われる。
うまくいかない人は保険ショップなどに出向きプロに試算してもらうとよい。
今すぐ生命保険の負担を劇的に減らそう!
私は知識に自信があるので、20代なら2000円、30代40代なら多くても4000円程度に保険料を収めてしまう。
なぜなら医療保険やがん保険など余計なものを軒並み選択肢からはずし、死亡保険も可能な限り切り詰めてしまうからだ。
もし就業不能保険に入るなら+3000円くらいの負担を想定する程度だからだ。
よって必要な保障を全て加入しても、1万円を超えることなどありえない。
とはいうものの、私のように『そこまでなんでもかんでも不要!と割り切れない』という人も多いだろう。
しかし、ここで書いたことを読むと、少なくとも『でも、実は保険料はかなり削減する余地があるはずだ』くらいには感じられるはずだ。
そのような人は今すぐにでも、FPなど専門家の意見を聞き、見直しの試算をしてもらうべきだ。FPは終身保険や外貨建て保険など余計なものまで勧めてくる人も多いが、死亡保険や医療保険については、多数の保険会社から安いものを比較しながら示してくれる。
以下の記事を参考にしながら、FP相談の予約を取り、劇的に保険料支払いを減らすことをおすすめする。
『FPに相談すると驚くほど簡単に生命保険料の節約ができる!』