日本人は頭が沸いているのか、保険業界が頭が沸いているのか。0歳児にまで生命保険の心配とは!
多分後者なのだろうが、生命保険会社のプロパガンダが0歳児にまで生命保険に加入させようとしている状況を黙ってみているわけにはいかない!
『子供が生まれると、生命保険が0歳から入れると悩んでしまいます』とはあるサイトで見つけた記載だが、そんなことに悩む親がいるのだろうか。0歳児の保険など、住んでいるところの医療費助成がどうなっているかを気にするくらいではないか。
あなたが無駄な保険料を支払わないように、生命保険業界のプロパガンダに真っ向勝負を挑もうではないか。
当記事では0歳児に生命保険がいらない理由、加入すると起きるデメリット、0歳児の生命保険より気にするべきことを解説しよう。
そもそも0歳から生命保険に加入できるの?
生命保険業界は取れるとこからはどこからでも保険料をとろうとするので、0歳児に生命保険というまるで無意味なことでも平気でやる。
一部保険会社は取り扱っていない場合もあるが、選択肢は比較的多い。実際、0歳児が亡くなったり、入院手術するリスクはそれほど高いものではないので、保険会社のビジネスとしては成り立ってしまうのだ。
さて、具体的にどのような生命保険に加入できるかというと以下のものが考えられる。
- 学資保険(とそれに付く医療特約)
- 医療保険
- 終身保険
学資保険は将来の子供の教育費の積み立てとして親が貯蓄するためのもので、原則的には親のための保険だ。
簡単に言えば貯蓄なのだが。
そこに付けられる医療特約は、子供が入院・手術等した場合に給付金がもらえるもので、この部分は子供を対象とした保障である。
たいてい学資保険につく医療特約は型遅れの古いタイプであることが多いので、0歳児の医療保障目的で学資保険に加入する人は少ない。
医療保険と終身保険は0歳から加入できる保険会社があるが探せばすぐ見つかる。
後述するように必要性はほとんどないし、デメリットばかりだが。
0歳で生命保険に入っても医療費助成と同時受取は可能?
多くの地方自治体が行う子供の医療費助成は知っているだろう。子供が生まれる・あるいは妊娠中に医療費助成の話はあるはずだ。
これは、子供が医療機関にかかった際に各種公的健康保険の自己負担分を各地方自治体が負担してくれる制度だ。
対象年齢が0歳から小学生の間までだったり、中学生までの間だったり、高校生の間までだったりする(自治体により異なる)。
さて、この医療費助成は公的な制度であるため、民間の生命保険に加入していようとそうでなかろうと、全く関わりはない。
民間の生命保険に加入すると医療費助成が受けられなくなるということもない。
おすすめしないが、民間の医療保険に加入して、入院したとしても、医療保険・医療費助成制度どちらもきちんと機能する。
この点は安心してよい。
驚くのは『医療費助成の対象とならない方は、健康なうちに医療保険に加入したほうがいいでしょう』などという解説文を載せているサイトがあるのだ。
論理的におかしいと思わないのだろうか。
医療費助成の対象とならない人は、たいていの場合所得制限にかかるか生活保護世帯だ。生活保護世帯はそもそも医療費がかからないため、医療費助成の対象とする必要がないだけだ。
問題は所得制限にひっかかる世帯だが、所得制限にかかるような世帯はそもそもお金を持っている。健康保険の3割自己負担程度に困るような世帯ではない。そのような世帯はそもそも医療保険を必要としない。つまり、医療費助成制度がある以上、誰も医療保険など必要としないのだ。
少し考えればわかることを、生命保険に関わる人間は消費者をあなどって平気で垂れ流してくるから恐ろしい。
生命保険って何のためにあるか知ってる?
私は基本的に保険業界に対して辛口ばかり書いているが、保険制度自体は好きだ。嫌いなのは消費者をバカにした保険業界である
生命保険に限らないが、保険とは本来、『自分では対応できない損害を補てんする』ことが重要な役割である。
またそうした『自分では対応できない損害を補てん』したいが、『保険でしか対応できない』場合のみ、保険に加入するべきである。
そうでなければ無駄な保険料を支払う羽目になるだけだ。
それにもかかわらず、保険業界は『0歳児に必要な保険はこれです』などと恥ずかしげもなく言ってくるのだ。
0歳児が入院・手術するリスクなど限定的だし、多少の入院・手術なら自己資金で対応すればよい。
逆に難病など長期入院や通院が想定される場合は、民間の医療保険など支払限度日数が短くて役に立たない。1入院60日限度の医療保険などに加入して、1年入院する子供はいったいどうすればよいのか。せめて長期入院に対応できる医療保険くらいでなければこうしたリスクに対応できない。
それでも長期の通院となったら、もう完全に役に立たないし、移植手術という事態なっても医療保険は全く無力だ。
そもそも、保険は役に立たない確率のほうが圧倒的に高いのだから、無駄が多いと分かっているものに加入する必要はない。
0歳から生命保険に加入する3つのデメリット
とあるサイトを参考にすると、0歳から生命保険に加入すると以下のようなメリットがあるらしい。
- 健康なうちに加入できる
- 保険料が安い
- 相続税対策として用いる
健康なうちに加入できる?まあ確かにそうだ。0歳にそもそも生命保険や医療保険が必要なのかどうかはともかく・・・
保険料が安い?0歳は病気やケガになるリスクが低いのだから当たり前の話でメリットでもなんでもない。リスク相応の保険料なだけだ。まあ、これもいいだろう。
しかしさすがに3番目はおかしい!相続税?0歳の人が亡くなって相続税の心配?
今0歳の人の生命保険の話をしているんだよね?0歳って財産持ってるの?
わかるだろうか。世の中、偉そうに解説しているインターネットの記事すらこのように素人丸出しの知識ばかりなのだ。
『0歳から生命保険に加入するメリット』などと言って真に受けると、素人の間違った知識によりとんでもない保険に入ってしまうリスクすらあるのだ。
だから私はあなたが、0歳児に生命保険をかけないよう、逆にデメリットを強調しようではないか。
デメリットその1 無駄金を払う
0歳から入る生命保険など無駄が多いことはこれまでの説明でなんとなくわかっているだろう。
無駄が多いということは、つまり、無駄金を払うということだ。
こんなにわかりやすく、強力なデメリットはないだろう。
デメリットその2 セールスがうっとうしくなる
生命保険会社や代理店ではすでに契約している人のリストは絶好の営業先となる。
必要もないのに0歳児の保険に入ることで、あなたの家庭はずっと営業担当者の標的となり続けるだろう。
生命保険の営業などいちいち相手にしている時間も労力も無駄となる。
デメリットその3 生まれた子供が大人になったら、保険に入るのがデフォルトになってしまう
20代くらいの若い人が生命保険に入っている理由として多いものが、『親がかけていた』だ。
こうした人は生命保険に加入していること自体にそれほど疑問を持っていない。
5000円の生命保険に入っている人は、6000円程度の生命保険になら見直してしまう。0円から5000円にするのはとても嫌がるが、すでに加入している人はそこのあたりの耐性が低いのだ。これも営業担当者の的となる原因となる。
つまり子供が、将来的に無駄な保険に入ってしまう確率が上がるのだ。このような負の遺産を子供に残すべきではない。必要もないのに・・・
0歳から生命保険に入るくらいなら普通に貯蓄しろ!
0歳から加入する生命保険として、『掛け捨て型か貯蓄型かどちらが良いのか』などという馬鹿げた議論がされることがある。(0歳に限らないが)
たいていの場合、貯蓄型が勧められ特に終身保険が勧められることが多い。
おすすめされる理由としては以下のものがほとんどだ。
- 保険料が安く一生涯変わらない
- 掛け捨て型のように保険料が無駄にならない
- 成人のお祝いで終身保険を送る(契約者変更により)と喜ばれる
これらは『わざわざ保険でなければならない』のだろうか。
終身保険は基本的にどの時点で入ろうと損得に変化はない。
一生涯で支払うべき保険料総額が決まっていて、それを長い期間で按分すれば当然保険料は安くなる。
120万円を1年で払おうと思えば、1カ月10万円となるが、10年で払えば1万円になるのと同じ理屈だ。総額では変わらない。
『いや、実際若いときに加入すると払い込み総額が低くなるじゃないか!』という意見もある。
それは、支払った保険料が保険会社にプールされ、運用に回るわけだが、運用期間が長くなる分、必要な保険料総額が減るだけに過ぎない。同じ利率でも10年運用するのと30年運用するのでは金額が変わるのは当たり前ではないか。
掛け捨て型のように保険料が無駄にならないと思えるのも幻想だ。終身保険など貯蓄性の高い保険は保険会社にプールされる金額(責任準備金)が掛け捨て型より多く、その運用益で保障部分の保険料まで賄えてしまう。
特に若いころに終身保険などに入ると顕著になる。
保険会社は絶対に損をしないようにきちんと計算しており、『貯蓄型の方が保険料が無駄にならず得だ』などというのはまったくの幻想で、保障にかかるお金は見えないところできちんと取られているのだ。
さらに『成人したときに保険をプレゼントして子供が喜ぶ』のは保険をプレゼントされたからではなく、保険にお金が貯まっているから喜ばれるのだ。
その意味では、別に保険でなくとも、預金でもよいし、公社債投資信託でもよい。
だいたい、終身保険のような貯蓄性の高い保険を契約者変更すると、贈与税の対象となるリスクも考慮しなければならない。
お金があるからって生命保険料の前納とかするべきではない!
学資保険でよくあるやり方だが、長期間で払う保険料総額の全部、あるいは一部を保険会社に預け、そこから毎月の保険料を引いてもらう支払方法がある。これを前納と呼ぶ。
お金のある高齢者が孫の学資保険に加入してあげる場合に、この方法を用いられる場合がある。
今では何のメリットもないので廃れた方法だと思っていた。
あるサイトには『前納を用いると保育料の軽減に役立つ』などというのだ。
保育園などは世帯収入で保育料の計算がなされる。 ←ここまではよい
収入が高ければ保育料も上がる ←これもよい
生命保険料を前納することで源泉徴収にて控除される金額も高くなり、保育料の節約になる! ←ファッ!?
生命保険料控除により、所得が減り、保育料の軽減になるかもしれない(保育料のテーブル上、ちょうど境目くらいの収入なら)。
しかし、生命保険料控除はもろもろ合わせて年間保険料で12万円までが控除の限界だ。前納したからといって、預けた全額がその年の控除の対象になるわけでもない。
そして、0歳児の生命保険を検討するような親は当然自分の保険も加入・検討しているだろう。きっと生命保険料控除の枠年間12万円は親の保険でほとんど使い切っているのではないか。
つまり、前納だろうとなんだろうと、保育料が軽減されるほどの効果が見込めることはほとんどないのだ。
0歳児の生命保険より親の生命保険は大丈夫なのか
ここまで見てきたように、0歳児の保険など不要だし、保険業界もインターネット上も信用できない情報であふれている。
あなたはあなたの0歳の子供の生命保険に関しては『いらないのか』と考えてホッとしているかもしれない。
しかしこれで安心してはいけない。信頼できない情報が多い保険業界・インターネットサイトばかりなのだから、あなた自身が加入・検討している保険に問題がないとは限らないだろう。
あなた自身の保険もきちんと専門家の意見を聞いた上で、加入・見直しをするべきである。
ぜひ下記サイトを参考に専門家に相談し、家族全員の生命保険を最適なものにしよう。
『生命保険を見直し保険料を10,000円節約したい人は他にいますか?それも簡単に!』