お金の教育の必要性が叫ばれ始めて久しい。
しかし子供はおろか、大人ですらお金についてまともな教養を持っている人は少ない。
いまだに『銀行金利が~』とか『掛け捨ての生命保険が~』とか的外れなことを気にする大人は多い。
それどころか将来設計すらろくに立てていない大人が大多数なのだからとんでもないことだ。
20年後みんな貧困に叩き落され、飢え死にするつもりなのだろうか。
もちろんお金に無知なままだと貧困になるのは大人だけではない。
お金について無知な子供は成長してもまともな職につけないばかりでなく、永遠に貧困から抜け出せなくなる可能性が高い。
まあこうは言っても多くの人が理解できないだろう。20年、30年後の未来がひどいことなど想像もしていないのだから。
パイは縮小し、椅子取りゲームの椅子はどんどん減っていく
日本の話であれば、これから日本国内の市場が縮小するのは確定的に明らかだ。
労働人口は減り、高齢者ばかりになり、たいていの日本人はまともに生産していくことはできなくなり、ただ貯蓄を頼りに消費するだけの存在となる。
今ではまだ高齢者は金持ちだ。現在の高齢者は生きている間に消費をし続けるだけの蓄えは比較的ある。
しかし時が進むにつれ、後の世代はそうした消費の余力はどんどんなくなる。
つまり市場は縮小する。人口が減る時点で市場の縮小は確定的だが。
市場が縮小すれば生産量も当然のように落ちる。生産量が落ちれば給料が減りそしてまた消費余力がなくなり市場が縮小し、生産が減る・・・
負のスパイラルだ。
これを防ぐためにはどこかにテコ入れが必要だ。
対策に使われるのは外国人人材とハイテク技術だ。
これらは生産量や消費量の総量を維持するのに役立つ。
しかし、どちらも特別な才能などない普通以下の日本人に恩恵を及ぼすことはない。
生産量や消費量の総量が増えても平均的な日本人1人当たりの生産量や消費量はどんどん落ちていくだろう。
そして外国人人材は日本人より安い給料で使われる分、たいていの人力による仕事は外国人人材に奪われる未来になるだろう。そうでなければ縮小する市場で利益を上げることはできなくなる。
また、ハイテク技術を使える一部の才能のある人間だけ高収入を手にし、一般の労働者は排除される運命にある。
結局のところ、たいていの日本人は今までの知的労働者と言われるような仕事はほとんどが絶滅し、外国人人材なみの安い給料で肉体労働をするしかなくなる。
一部の才能ある人や金持ちがさらに富を手にするだけだ。
つまりたいていは貧困一直線だ。
日本国外も含め世界全体で考えれば市場は拡大するかもしれないが、日本から外に出られる人材などごくわずかだ。そのような人材は衰退明らかな日本のためにお金を落としたりはしない。
衰退する国では税金はどんどん上がり、住む魅力などなくなっていく。日本の外でしっかり稼げる才能のある日本人がその程度のことはすぐに気づくだろう。
やはりたいていの日本人は衰退の波に飲まれるしかない。
子供にお金の教育をしなければ悲惨な未来に対する危機感が養われない
子供たちは今のままの一般的な教育では日本が衰退していくまっただ中に自分たちが飛び込んでいくことの危険性を認識できないだろう。
学校の教師はおろか親ですらそのことをきちんと認識できていないのだから。
そして何も知らないまま20歳過ぎに社会に飛び込み、自分たちがすでに手遅れな状態であることに気づくだろう。
しかし、子供にお金の教育をきちんとすれば、このような衰退一直線の日本の未来を子供たちは避けようとするだろう。
自分の未来が危機的だとわかれば、子供たちは自ら様々な勉強をする意義を見出すだろう。
英語も数学は基礎として、自分が興味のある分野について学ぼうとするはずだ。
子供にお金の教育をすることなど別段難しいことではない。
『あなたたちの未来はこのような破局的な未来が待っている』ということを教えればいいだけだ。
ぼーっとしていると、子供たちの給料はほとんど老人の介護や保健の費用に消え、年金などとっくに破綻し、低賃金の職しかなく、お金を貯めることすらままならず死ぬまで貧困だ。
至極簡単なことじゃないか。
お金の教育とは時間を学び未来を想像すること
愚かな人たちは盛大に勘違いしているが、お金の教育とは『投資の教育』をすることではない。ましてや貯蓄から投資にお金を流すことでもない。
お金の教育とは『時間がたつとお金はどのように変化し、それによって未来がどう変わるか』を勉強することだ。
今現在の消費税は8%だが、10年後15%になっていたらその時どんな社会になるのか、20年後30%になっていたらその時どんな社会になるのか。
今現在老人介護に困っている人はそれほど多くないが、もっと高齢化が進んだ20年後はいったい誰が介護負担をするのか。そんな状況にいたら自分はどうなるのか。お金は?仕事は?
資源もない日本で市場が加速度的に縮小したら、日本円の価値はどうなるのか。そのとき輸入に資源を頼りがちな日本はどうなるのか。そうしたら今と同じ生活はできるのか。
明日の株価を予想することはできないが、高齢化が進む日本がどうなるのかは想像することができるだろう。
そうした未来の脅威を認識するためにお金の教育が必要なのだ。