個人年金保険は老後の生活資金の足しにするために入るのが一般的だ。
もちろん夫婦で同時に個人年金保険に加入することも一般的だ。
その中でいわゆる専業主婦(主夫)が個人年金保険料控除を受ける際には注意することがある。
個人年金保険料控除を受けて控除するだけの所得があるかどうか
あなたが自分のことを主婦(主夫)だと認識しているなら、あなたが稼ぐ収入はどれくらいだろうか。
世の中の平均的な年収程度の収入を得ているなら何も問題はない。個人年金保険に入っていないなら、個人年金保険料控除を受けるチャンスだ。
問題は収入が多くない場合だ。専業主婦(主夫)であればなおさらだ。
個人年金保険料控除のメリットを活かすために個人年金保険に入るならば、当然所得控除されるだけの収入がなければ無意味だ。
所得がないのに、控除枠があっても所得税は安くならない。そもそも所得税が0だからだ。
一般的にパートタイムで働いている主婦(主夫)または専業主婦は年収103万円の壁(収入の全額が給与所得の場合)を意識しているだろう。この年収額を下回る人は所得金額は0だ。よって個人年金保険料控除を受けても控除する所得がないことになる。
つまり、個人年金保険に加入してもなんのメリットもない。
個人年金保険は個人年金保険料控除を活かさなければ特別メリットがある金融商品ではないし、むしろデメリットもあるくらいだ。
個人年金保険に加入するならある程度の収入(少なくとも毎年所得税を払っているくらいの年収)がないと意味がないということだ。
個人年金保険に加入することのデメリットについては『個人年金保険に入ることのデメリットって知ってる?』を参照してほしい。
主婦(主夫)が加入する個人年金保険で配偶者の所得控除に反映させる?
収入が少ない主婦(主夫)では個人年金保険料控除を受けてもメリットを受けられないなら、その配偶者の控除に反映させたいという発想になるかもしれない。
しかし、できないことはないが2つの理由からあまり効果的ではない。
1 個人年金保険料控除の枠はそれほど大きくない
個人年金保険料控除は1人につき控除枠の上限がある。最も大きい所得控除を得るためには個人年金保険に年間8万円(毎月6667円)の保険料を支払うことが必要だ。
毎月6777円の個人年金保険というのは個人年金としては小さい契約だ。個人年金に契約できる最低金額に近いくらいだ。
自分の個人年金保険料控除の枠を配偶者に渡して、控除枠を増やしたりすることはできない。
2 個人年金は契約形態によっては贈与税がかかる場合がある
個人年金保険料控除を受けるためには様々な条件がある。そのうちの一つに、『被保険者と年金受取人が同一であること』『年金受取人は契約者本人、またはその配偶者であること』というものがある。
平たく言えば個人年金保険料控除を受けるためには『契約者=被保険者=年金受取人』というふうに契約者本人が本人のために加入するのが一般的だ。
もし、主婦(主夫)の老後の年金の足しにするために年金保険を契約し、かつその配偶者の個人年金保険料控除にしたいなら、契約形態は以下のようになる。
『契約者=配偶者、被保険者=年金受取人=主婦(主夫)』
あなたがあまり収入を得ていない主婦(主夫)側であるなら、あなたが被保険者かつ年金受取人で、あなたの配偶者が契約者となる。
この場合、個人年金保険料控除はあなたの配偶者が受けることになる。
しかし、この契約形態だと年金受取を開始する際に贈与税がかかることになる。
贈与税の税率は高いので、控除で得た分のメリットがすべて吹き飛ばされるだろう。
収入の少ない主婦(主夫)が個人年金保険に加入するメリットはない
これまで見てきたように、控除するための所得がないほどの収入しか得ていない主婦(主夫)では個人年金保険料控除を受けても意味がない、と同時に、その配偶者のために個人年金保険料控除を活かそうと思っても制約が大きくメリットがないことがわかった。
結局のところ、控除するための所得がない程度の収入の主婦(主夫)では個人年金保険に加入するメリットなどないのだ。老後のための資産形成なら個人年金保険料控除を活かせない個人年金保険などに用はない。先ほども言ったようにデメリットすらある。
老後のための資産形成が重要なのはもちろんだが、個人年金以外の方法にするほうが合理的だろう。
ほかにも個人年金保険料控除について知りたい人は『ここを読めば個人年金保険料控除についてなんでもわかる』を参照してほしい。