個人年金保険料控除を受けるための条件について徹底解説

個人年金保険料控除は積み立てをしながら掛金が所得控除に使える素晴らしい制度だが、控除を受けるための条件がある。

その条件のため個人年金保険への加入の仕方に注意しなければならない。

1 個人年金保険料控除を受けるための条件

個人年金保険料控除を受けるためには加入する個人年金保険に『個人年金税制適格特約』という特約を付加することが必要だ。

この特約が付加されていれば、毎年個人年金保険料控除が受けられる。

さらに、この『個人年金税制適格特約』を個人年金保険に付加するための条件がある。

2 個人年金税制適格特約を個人年金保険に付加するための条件

個人年金税制適格特約を付加するための条件として以下の5つを全て満たす必要がある。

  1. 個人年金保険契約の被保険者と年金受取人が同一であること
  2. 個人年金保険契約の年金受取人が契約者本人または配偶者であること
  3. 個人年金保険契約の保険料支払期間が10年以上であること
  4. 年金受取開始年齢が60歳以上であること
  5. 年金受取期間が10年以上であること

条件を満たす上での注意点を順にみていこう。

2-1 名義関係に関わること

①、②の条件は個人年金保険契約の名義関係の話だ。

一般的に個人年金保険は『契約者=被保険者=年金受取人』とすることが多いので、その場合は①、②の条件ともに満たせる。

また年金受取人と契約者が異なる場合は『契約者=夫、被保険者=年金受取人=妻』などの場合だが、契約者と年金受取人が異なると、いざ年金を受け取り始めるときに贈与税がかかる。

贈与税の税率は高いので一般的に契約者と年金受取人が異なる契約はしない。

『契約者=年金受取人=夫、被保険者=妻』は①の要件を満たさないので控除が受けられない。

子供や親のために契約してあげると言った場合も①、②の要件を同時に満たすことができない。

よって、贈与税の観点も考えると、事実上、個人年金保険料控除を受けるためには『契約者=被保険者=年金受取人』の契約形態しかない。

要するに控除を受けたいなら、控除を受けたい本人が本人のために個人年金保険を契約しなければならないということだ。

2-2 年齢に関わること

③の条件を満たすためには保険料を長い期間に渡って払わなければならない。

よって、一時払いの個人年金保険は不可だ(一般の生命保険料控除の対象にはなる)。

一時払いは不可だが、月払いと年払いの契約は大丈夫だ。

特殊な例では、月払いや年払いの契約に前もって払い込む保険料を保険会社預けるに前納と言う方法もあるが、これも③の条件を満たすことができる。

10年以上支払うことが要件なので、60歳を受取開始年齢に設定するなら50歳以前に加入しなければ個人年金保険料控除は受けられない。

70歳を年金受取開始年齢にすれば加入年齢は60歳まで大丈夫だ。

一般に個人年金保険は年金受取開始年齢が70歳までだ。そのため、61歳以降は個人年金保険料控除を受けるのが難しいと思っていよい。

また④の条件との絡みも考えると、50歳以前の人は③と④の条件を簡単に満たすことができるが、51歳以上の人は③の条件を満たすために65歳受取開始や70歳受取開始にしなければならない。

⑤の条件を満たすために、年金受取期間にも注意を払う必要がある。

個人年金保険には年金受取期間として、5年確定年金、10年確定年金、15年確定年金が一般的だ。あるいは亡くなるまで年金が受け取れる終身年金というものがある。

⑤条件を満たすためには、10年以上の受取期間があるものか、または終身年金であることが必要だ。

3 個人年金保険料税制適格特約を問題なく不可できる年齢

①から⑤の条件により、個人年金保険料税制適格特約を付加するためには年齢が重要な要素になる。

概ね45歳以前の人なら特別なことを考慮することなく個人年金保険料控除を受けられる契約を組むことができるだろう。

45歳を過ぎると、ある程度の掛金がないと1年あたりの年金額が保険会社の定める最低額にならないことがあり得るし、③、④の年齢要件にひっかかりやすくなる。

4 個人年金保険料税制適格特約を契約する個人年金保険に付加できるか販売員に確認する

実際に個人年金保険に加入する際は、個人年金保険料税制適格特約を付加できる契約には全てセールス側で付加している場合が多い。よって、通常は特約付加のための複雑な条件についてあれこれ悩む必要はない。条件を満たさないような契約の場合、条件を満たすようにセールス側で提案してくれる。

しかし、最初から個人年金保険料控除目当てで個人年金を検討する場合は、念の為その旨をセールスに伝えたほうがよいだろう。そうすれば、あなたが個人年金保険料控除を受けられなさそうだと分かれば、無駄に個人年金保険に入る必要がないからだ。個人年金保険料控除が受けられなければ、個人年金保険で貯蓄することは他の金融商品に比べデメリットが多い。

個人年金保険に加入することのデメリットを知りたい人は『個人年金保険に入ることのデメリットって知ってる?』を一読してほしい。

少しでも有利な利率で個人年金保険に加入したい場合

あなたが個人年金保険料控除が受けられる条件に合致する場合、実際に加入する際に気になるのは、やはり『利率が有利かどうか』だ。この点は実際に多数の生命保険会社の見積もりを集めるしかない。

もちろん、1回1回異なる保険会社のセールスと面談するのは面倒だし、余計なものを勧められてうっとうしいことが多い。

よって、それらの面倒を避けるために複数の生命保険会社の商品を扱う保険代理店に相談するのが手っ取り早い。

保険ショップなどでFPと面談し『個人年金保険の利率が一番いいのはどこか』と目の前で一斉に見積もりをとればいいのだ。

他にも生命保険料を節約するためのヒントをもらえるなど思わぬ成果があることも多いので、FPに相談することはメリットが多い。『個人年金保険の利率比較ならFPに相談するのが最も簡単』の記事を参考に一度試しに面談してみることを勧める。

ほかにも個人年金保険料控除について知りたい人は『ここを読めば個人年金保険料控除についてなんでもわかる』を参照してほしい。