終身の保障になんて加入する人はきっと刹那的に生きている人なのだろう。
ああ・・・もちろん私も刹那的に生きるときは多い。好きなテニスの試合をするときは『我慢してボールをつなげろ!』と自分に言い聞かせているのに、次の瞬間には1発で決めにいき、そしてミスをして後悔する。他にもその場の思いつきで失敗することは多いことは否定しない。
しかし、生命保険を含めた金融商品について将来を見通せない人は必ず金融商品に損をさせられることになる(正確にはセールスに損をさせられる。商品自体は別に悪くない)。
終身の生命保険に話を戻そう。セールスに見直しを勧められて、あるいはテレビCM等で『終身の保障に見直しすれば一生涯保険料は上がりません!』とか言われて、生命保険を終身の保障に見直ししようとする人が後を絶たない。なぜわざわざ自分から不幸になりにいこうとするのだろうか。私には理解できない。
もちろん、それは消費者の無知ゆえだ。必要な情報を与えられていないだけに過ぎない。しかしこの記事を読めばもはや終身の保障などに加入する人の愚かさがわかるだろう。
なぜ終身の保障が見直しで勧められるのか考えたことはあるか
あなたは『終身の保障に見直しすれば一生涯保険料は上がりません!』と熱心に保険会社がCMをしていることに疑問を持たないのか。CMをうつということはそれだけ利幅の大きい商品なのだ。利益が少ない商品のCMなど保険会社はうたない。円建ての個人年金保険のCMをあなたは見たことがないだろう。まずこの時点で終身の保障になど見直すことの危うさを感じ取らなければならない。
本当に一生涯保障が必要なのか考えたことがあるか?
終身の生命保険に見直しすると、一生涯保険料が変わらないことが強調される。ここで気づかなければならないのは、そもそも生命保険は一生涯加入することが前提なのかどうかということだ。当サイトをくまなく読めば生命保険が必要な期間はごく限られていることがわかる。せいぜい子供が生まれてから子供が独立するまでの期間だ。あとは年金保険や就業不能保険をおすすめしているくらいだ。これらはいずれも遅くても60歳か70歳までにはお役御免になる。
まず一生涯の保障が本当に必要なのかどうかを検討すべきだ。
一生涯保険料が上がらないということがどういうことか考えたことがあるか?
一生涯保険料が変わらないということはなにが良いのか。一般に生命保険は若いときの保険料が安く、高齢期の保険料が高い。それを一生涯で保険料を払っていくと、若い時に支払う保険料は本来より高くなり、高齢期の保険料は本来より安くなる。言い換えれば終身の保障は若い時に保険料を多めに払い、高齢期の保険料にあてているとも言える。
さあ、ここであなたは考えなければならない。
もし加入した終身の生命保険が掛け捨て型(医療保険に多い)だったとして、加入後数年して解約したらどうなるか。掛け捨てだからもちろん解約返戻金はない。先も述べた通り、若い頃に払う終身保障の保険料は本来のものより割高だ。解約するとしたら戻ってくるお金もなく、ただ割高な保険料を払っただけとなる。要するに、終身保障の生命保険は解約をしないことが前提で加入するものだ。
『そんなの解約しなければいいだけの話じゃないか』と思ったなら、あなたはさらに考えなければならない。
特に医療保険に顕著だが、加入後10年もすれば保障は陳腐化するのが常だ。もし解約しがたい終身保障の生命保険に見直しして保障内容が陳腐化していったらどうなるだろうか。
例えば医療保険は30年も前には20日以上入院しないと給付金がもらえないという保険があった。それが今や日帰り入院まで保障するのが当たり前だ。これは入院日数がどんどん短期化しているからだ。20日も入院しないことがどんどん増えていって、日帰り入院からの保障でないと給付金がもらえないから、商品が変わっていった。今や20日以上入院しないと給付金がでない医療保険は時を追うごとに給付金がおりる可能性が減っていったのだ。
もしそんな保険に終身保障で加入した人がいたら、役に立たない保障に保険料を払い続けるか、これまで払ってしまった割高な保険料のことは泣いて、解約するかのいずれかだ。
このことは未来にも起こり得る。例えば現在、1回入院したら平均で15日入院するとしよう。今後ますます医療が進歩し入院日数が短期化されたとしたら?いや、現実的に病院のベッドは常に足りない状態に現在あるのだから、医療が進歩しなくとも入院日数は短期化されるだろう。もし10年後に平均入院日数が8日になっていたら?もらえる給付金は平均で15日分から8日分に減っているかもしれない。
このように医療保険は特に内容が陳腐化しやすい。こんな劣化しやすい商品に解約に躊躇してしまう終身保障に見直しすることの愚かさが分かるだろう。未来を見据えなければならないとはこういうことだ。
医療保険は終身保障に見直してはいけない
上記でも触れたが、医療保険は状況の変化に非常に弱い商品性だ。これは『医療保険が不要である』と私が声高に叫ぶ理由の一つだ(一つということは他にもいっぱいある)。医療保険を終身に見直すなどとんでもないことだ。そもそも医療保険は不要であるくらいだから、見直すなら今すぐ医療保険を解約する方向で考えるべきだ。
死亡保険でも終身保障を持ってはいけない
死亡保険にも終身保障のものがある。これらはたいてい貯蓄性が高く、貯蓄代わりに使われることがある。最近では低解約返戻金型終身保険という、払い込み期間中解約返戻金額が通常の7割程度に抑えられた終身保険が売られている。
これらも医療保険の場合と同様に、未来は誰にも見通せないことを考えれば安易に加入すべきものでない。特に低解約返戻金型の終身保険は払い込みが終わるまで解約がしづらい。事実上20年、30年と資金が拘束されることを意味する。そのような保険に入ることのリスクを考えたことがあるだろうか。
もし、将来どこかで金利が上がったらどうする?将来的には日本は人口が減り衰退の道を歩みつつある。将来的にインフレが起こることも十分ありうる。インフレがあるかどうかも含め未来の変化に弱い金融商品の買い方は控えるべきだ。
そうでなくとも急に資金が必要になったとき、解約しづらい終身保険など悩みの種にしかならない。
終身の保障などに見直してリスクの高い保険にするより保険料を減らす見直しを!
もしあなたが、20年後、30年後の未来を正確に見通せるエスパーか、あるいはタイムマシンでやってきた未来人で、終身保障の生命保険に見直しすることが有利だとわかっているならどうぞ終身保障の保険に加入するとよい。(そもそも未来を見通せるなら保険なんて買わずに株式でもFXでもやったほうがいいに決まっている。未来を見通せても終身保障はいらないじゃないか!)
だが、たいていの人は明日の夫や妻の機嫌すら予測できないものだ。株式のアナリストが『日経平均は21,000円の壁が重いだろう』と言った翌日に景気よく21500円になったりするのが世の中だ。未来が不確実なのに長期間の契約をするのはリスクが大きすぎるのだ。
そんなことより、今払っている保険料をむしろ節約し確実に家計の黒字を増やすほうが圧倒的にあなたの幸せに貢献するだろう。もしあなたが終身の保障に見直しをすることを検討しているのなら、そんなことはやめて、『生命保険を見直し保険料を10,000円節約したい人は他にいますか?それも簡単に!』の記事を参考に保険料を節約することをおすすめする。20年・30年後の1万円より今すぐ節約できる1万円のほうが価値は圧倒的に高い。